週間レビュー (7月23日 - 8月19日) セ・リーグ

各数値について
  • RDは得失点差、BatはwOBAの得点換算値(パークファクター補正あり)=打撃での貢献度、BsRは走塁の得点換算値、PitはFIPの得点換算値(パークファクター補正あり)=投球での貢献度
  • Fldは打球種別(ゴロなど)の奪アウト率から守備を得点換算したもの。UZRとは異なるので注意
  • ポジション別打撃および投球貢献度のSP、RPはそれぞれ先発投手と救援投手の投球での貢献度=FIPの得点換算値(パークファクター補正あり)、その他は各ポジションの打撃での貢献度=wOBAの得点換算値(パークファクター補正あり)
  • WPAは参考程度(精度的に)
  • ルーキー打撃貢献および投球貢献は最優秀新人の資格に該当する選手が対象
  • 最近15試合の成績、最近30試合の成績、シーズン成績は8月19日時点の成績
勝敗およびスタッツ
勝敗およびスタッツ (最近15試合)
TmWLW%GBRS/9RA/9RDwOBABABIPFIPDERLOB%BatBsRPitFldTotalxW%
広島95.6430.04.974.1912.359.3443.99.67573.7 %14.70.08.3-6.116.9.591
阪神96.6000.54.714.701.350.3345.19.68176.4 %7.5-1.2-6.8-4.9-5.4.452
ヤクルト87.5331.55.625.017.372.3264.57.65572.2 %3.1-0.37.0-15.2-5.3.513
巨人77.5002.04.394.223.336.3014.48.67175.5 %2.3-0.83.0-3.11.3.485
DeNA510.3334.54.385.73-20.344.3144.76.64469.5 %4.5-0.70.3-14.3-10.1.421
中日510.3334.54.064.55-7.315.3375.00.69274.9 %0.73.1-13.42.9-6.7.434
勝敗およびスタッツ (最近30試合)
TmWLW%GBRS/9RA/9RDwOBABABIPFIPDERLOB%BatBsRPitFldTotalxW%
広島1910.6550.05.464.5727.367.3184.10.67271.0 %36.61.313.0-13.937.1.600
ヤクルト1713.5672.55.274.7911.365.3354.71.67772.9 %4.42.08.8-10.94.4.547
巨人1415.4835.04.304.175.329.3064.51.69474.2 %-2.2-3.93.310.88.0.509
阪神1416.4675.54.525.25-20.337.3254.76.66370.4 %8.61.0-10.2-19.1-19.7.433
中日1218.4007.54.364.302.316.3284.98.71275.8 %0.25.7-24.313.5-5.0.464
DeNA1020.3339.54.355.94-47.331.2914.94.65567.5 %-3.3-1.6-4.5-20.5-29.9.387
勝敗およびスタッツ (シーズン)
TmWLW%GBRS/9RA/9RDwOBABABIPFIPDERLOB%BatBsRPitFldTotalxW%
広島6241.6020.05.214.4478.355.3124.57.69972.4 %85.30.4-5.018.699.2.580
ヤクルト5152.49511.04.704.88-20.342.3054.61.68570.2 %-32.1-0.128.5-26.7-30.3.493
巨人5456.49111.54.554.1345.331.3084.49.69575.2 %2.4-6.922.621.439.5.510
阪神4852.48012.54.034.49-45.317.3024.24.67871.7 %-28.91.07.6-32.0-52.3.444
DeNA4658.44216.53.994.75-78.319.2854.48.67672.0 %-45.61.024.4-16.6-36.8.444
中日4861.44017.04.214.64-44.320.3124.91.70572.2 %5.44.7-73.535.3-28.2.456

 前回のレビュー(リンク)と比較しても特段の変化はないようで、カープは最近15試合、最近30試合でみても勝率6割以上のペースで勝っており、ベイスターズとドラゴンズはなかなか調子が上がってこない。

 次にポジション別の打撃および投球の貢献度。

ポジション別打撃および投球貢献度 (最近15試合)
TmC1B2BSS3BRFCFLFDHPHPSPRP
広島2.8-1.91.50.45.19.87.0-6.73.6-2.3-2.814.0-5.7
ヤクルト-1.0-1.84.6-3.6-2.10.82.72.2-0.3-2.23.57.5-0.6
DeNA-1.8-5.1-4.50.88.01.6-2.45.12.42.00.9-6.16.4
巨人-2.60.9-1.6-1.71.52.72.6-3.2-1.85.7-1.58.5-5.5
阪神6.4-2.70.2-1.0-2.25.4-5.23.9-2.23.3-0.1-6.1-0.8
中日-3.010.84.3-5.2-4.06.0-1.2-2.4-1.7-3.4-1.4-5.9-7.2
ポジション別打撃および投球貢献度 (最近30試合)
TmC1B2BSS3BRFCFLFDHPHPSPRP
広島1.72.4-1.45.07.318.712.0-5.63.6-0.5-3.413.9-1.1
ヤクルト-2.1-6.416.8-7.0-1.5-2.81.03.9-0.3-1.83.48.40.4
巨人-2.24.1-5.85.3-0.5-3.7-0.8-2.2-1.87.3-2.99.1-5.5
阪神6.5-3.12.34.7-5.45.4-10.77.2-2.24.4-1.5-8.9-1.9
DeNA-0.1-7.9-3.7-1.56.8-4.12.60.42.40.84.0-9.64.8
中日-2.714.7-0.4-4.8-2.15.5-3.6-1.4-1.7-3.4-0.6-14.8-9.2
ポジション別打撃および投球貢献度 (シーズン)
TmC1B2BSS3BRFCFLFDHPHPSPRP
広島23.1-7.4-6.412.3-4.328.447.0-9.73.60.30.4-1.7-3.2
巨人-1.81.5-17.533.49.6-8.4-5.3-12.6-1.82.94.020.03.4
ヤクルト-14.3-2.331.6-12.5-12.6-27.5-1.91.5-0.3-1.12.911.616.7
阪神6.9-13.19.83.4-12.27.8-34.83.2-2.24.6-2.213.5-6.3
DeNA-17.1-4.1-22.4-18.519.5-12.10.28.32.4-1.2-2.4-3.427.0
中日3.124.1-0.4-19.2-1.812.0-8.47.1-1.7-6.2-2.9-38.8-33.6

 カープは当初、先発、救援ともに大きなマイナスを作っていたのだが(リンク)、先発に関しては立て直せたようで、最近15試合、最近30試合ともにリーグでもトップの数値になっている。また、打線の方も最近30試合でみると比較的大きなマイナスはレフトくらいで、全体的に穴の少ない布陣となっている。

 ジャイアンツもカープ同様、開幕当初は先発投手に誤算があってマイナスを作っていたが、いつのまにか前評判どおりのかたちになった。また、坂本離脱の影響は大きいようで、強みの一つであったショートの打撃貢献が最近15試合でみるとマイナスになっている。

 スワローズは以前の記事(リンク)で書いたように負荷がかかり過ぎていた影響か、シーズン成績と最近15試合、最近30試合の成績とを比較して、好調だったブルペン陣にやや翳りが見えてきた感がある。先発の方は、好調を維持しているようだ。

 タイガースは最近の成績でみると先発投手の数値があまりよくない。

 ベイスターズもタイガース同様、先発投手の貢献値が下がってきている。また、打線の方も全体でみてサード以外は大きなプラスが作れていない。ブルペンの貢献値はリーグでも最も高いのだが。

 ドラゴンズは先発、救援とも改善傾向がみられない。今年は打線が比較的良いのと、この表にはないが守備での貢献度が高いので、それなりの勝率にはなっているが、投手の貢献値はリーグでも突出して大きなマイナスとなっている。

 CS争いというところでは、ベイスターズとドラゴンズはやや苦しくなってきたのかもしれない。現在の順位と勝率を参照すれば、Aクラスの勝率ラインは.490〜.500というところだろう。その場合、ベイスターズ、ドラゴンズともに現在の勝率から.05〜.06ほどあげなくてはならない。前回の記事(リンク)で挙げた残り試合とシーズン勝率とのマトリクスを参照すると、ベイスターズの場合、残り37試合で勝率を.05以上あげる確率は4.1%、.06以上だと1.3%になり、ドラゴンズの場合は、残り33試合で勝率を.05以上あげる確率は3.0%、.06以上は1.0%となる。残り試合の勝率でいえば、.650以上、つまり2勝1敗のペースが必須となるだろう。

 以下は少し気になったことなど。

山本由伸とフランスアの成績推移

 以下は今シーズンの山本由伸(オリックス)のストレートの平均球速の推移(FAv)、投球当たりの空振り率(SwStr%)、xFIPの推移を表したグラフ。5-gameが5試合単位の移動平均、15-gameが15試合単位の移動平均となっている。

f:id:verdoux:20180820001303p:plain:w400 f:id:verdoux:20180820001316p:plain:w400 f:id:verdoux:20180820001332p:plain:w400

 以下はフランスア(広島)のストレートの平均球速の推移(FAv)、投球当たりの空振り率(SwStr%)、xFIPの推移。

f:id:verdoux:20180820001344p:plain:w400 f:id:verdoux:20180820001352p:plain:w400 f:id:verdoux:20180820001400p:plain:w400

 両者に共通しているのは球速の低下、それに伴う空振り率の低下、その帰結として成績(xFIP)の低下。

 フランスアに関しては、ここ数試合の数値が下がっているというだけなので今後回復するのかもしれないが注視しておく必要があると思う。

 山本は以前の記事(リンク)で書いたように、短いインターバルでの負荷のかかった登板の回数が多く、記事を書いた7月11日の時点で既に成績は落ちてきていたのだが、その後7月27日に抹消された。

 フランスアは以前の記事の時点では登板が少なかったので名前は出てきていないが、現時点でのオーバーワーク登板(とこのブログでは呼んでいるインターバルの短い負荷の高そうな登板)は26登板中14登板で5割を超える。というか、登録期間でいえば、2試合に1試合のペースで投げているので、インターバル抜きにしても登板過多と言えるだろう。

ビジター同点時の登板

 例えば、8/14〜8/15までのタイガースとの三連戦(タイガースのホームゲーム)でフランスアは三連投したのだが、この内二試合は同点での登板だった。

 ビジター同点時では、仮に8回裏を0点でしのいだとして、9回表(ビジター側)の勝利期待値は50%以下である。また、9回表が無得点に終わった場合、9回裏(ホーム側)の勝利期待値は65%程度まで上昇する。言い換えれば、ホーム側は試合の最終盤に同点であれば勝利により近く、ビジター側は同点のままでは不利ということだ(このことはビジターで終盤1点ビハインドの時にバントをするかどうかにもつながる)。

 つまり、ホーム側は同点時でも勝ちパターンの投手を使う動機づけがあるが、ビジター側は良い投手から積極的に使っていく意味合いは薄い(勝利確率が50%以下の状況で投入することになる)。こういった起用を頻繁に繰り返すようだと、言ってみれば、分の悪いギャンブルにひたすらつぎ込むようなもので、少ないリターンのために戦力をいたずらに消耗させるだけという結果になりかねない。こういった登板の全てが無駄だと言うつもりはないが、少なくとも、ただでさえ登板過多になっている投手を無理に登板させる状況とは言えないのではないかと思う。

7月23日 - 8月19日の成績
勝敗および得失点 (7月23日 - 8月19日)
TmWLDW%RS/9RA/9RDOpp
広島1481.6365.394.5121
ヤ(2-1-0), D(5-3-0), 巨(1-1-1), 阪(3-3-0), 中(3-0-0)
ヤクルト1290.5715.314.779
D(1-1-0), 巨(5-1-0), 広(1-2-0), 阪(3-4-0), 中(2-1-0)
阪神11100.5244.535.04-9
ヤ(4-3-0), D(2-1-0), 巨(2-1-0), 広(3-3-0), 中(0-2-0)
巨人11121.4784.023.815
ヤ(1-5-0), D(3-0-0), 広(1-1-1), 阪(1-2-0), 中(5-4-0)
中日10130.4354.724.1512
ヤ(1-2-0), D(3-3-0), 巨(4-5-0), 広(0-3-0), 阪(2-0-0)
DeNA8140.3644.085.88-38
ヤ(1-1-0), 巨(0-3-0), 広(3-5-0), 阪(1-2-0), 中(3-3-0)
各種スタッツ (7月23日 - 8月19日)
TmwOBABABIPFIPDERLOB%BatBsRPitFldTotal
広島.368.3334.10.67871.4 %29.30.210.1-7.632.0
巨人.329.3024.35.69276.3 %-1.6-4.57.58.09.4
ヤクルト.370.3334.55.66672.8 %5.30.69.6-13.42.1
中日.318.3254.86.70476.6 %2.36.8-16.58.30.9
阪神.338.3345.20.66674.6 %4.5-0.1-12.6-10.5-18.7
DeNA.327.3004.73.64867.5 %-4.7-1.60.0-20.9-27.2
ポジション別打撃および投球貢献度 (7月23日 - 8月19日)
TmC1B2BSS3BRFCFLFDHPHPSPRP
広島0.81.71.33.17.316.89.0-8.50.0-0.1-3.315.2-5.3
ヤクルト0.5-4.97.4-3.0-2.9-1.14.43.20.0-2.44.210.5-0.8
巨人-0.53.2-4.92.6-1.0-2.20.5-1.70.06.4-3.110.6-2.8
DeNA-2.8-8.3-2.90.29.30.0-3.1-0.10.01.12.6-6.46.3
阪神6.4-5.02.12.7-4.74.5-10.05.60.03.9-0.3-9.9-3.1
中日-4.215.02.2-7.1-1.16.7-1.5-2.10.0-4.2-0.9-7.6-8.6
打撃貢献ベスト (7月23日 - 8月19日)
NameTmPAHRRRBISBAVGOBPSLGwOBABatWPA
鈴木誠也104921250.451.558.854.57720.70.90
ビシエド101523170.439.545.671.52518.01.80
福留孝介70410160.382.500.745.53111.21.00
丸佳浩107721191.294.439.600.45310.61.23
平田良介98118150.402.464.537.4309.60.89
打撃貢献ワースト (7月23日 - 8月19日)
NameTmPAHRRRBISBAVGOBPSLGwOBABatWPA
京田陽太1040962.191.230.191.220-8.4-0.72
武山真吾400030.061.132.091.121-6.6-0.25
陽川尚将480420.143.250.167.205-4.9-0.22
ロペスD9816110.263.286.337.272-4.8-0.32
俊介340120.156.206.188.181-4.2-0.24
投球貢献ベスト (7月23日 - 8月19日)
NameTmGGSWLSVIPERAFIPxFIPPitWPA
原樹理4430029.01.552.362.687.00.63
小川泰弘4412025.12.842.283.056.30.37
大瀬良大地4421028.11.592.623.334.80.69
ジョンソン4430023.13.092.583.604.10.41
今村信貴3320023.01.172.713.663.90.91
投球貢献ワースト (7月23日 - 8月19日)
NameTmGGSWLSVIPERAFIPxFIPPitWPA
山井大介3303016.14.967.475.56-6.7-0.14
才木浩人5413020.25.666.575.22-5.8-0.68
ウィーランドD3303016.17.717.104.85-5.0-0.69
ガルシア4412023.05.485.053.67-4.2-0.29
今永昇太D3311016.08.447.005.04-4.0-0.52
ルーキー打撃貢献ベスト (7月23日 - 8月19日)
NameTmPAHRRRBISBAVGOBPSLGwOBABatWPA
吉川尚輝321661.414.469.621.5004.40.34
大城卓三301540.360.448.600.4322.50.07
山本祐大D111201.0001.0004.0002.0711.40.00
田中俊太350310.353.371.441.3540.60.39
宮本丈50000.600.600.600.5210.50.14
ルーキー投球貢献ベスト (7月23日 - 8月19日)
NameTmGGSWLSVIPERAFIPxFIPPitWPA
東克樹D3301019.24.123.543.102.0-0.26
藤嶋健人2200014.00.642.684.052.00.85
アドゥワ誠9020014.22.453.184.031.60.15
風張蓮13011011.13.973.713.961.20.30
高橋樹也400016.03.003.022.730.70.09