村田修一の成績予測と移籍先候補

 村田の移籍先がなかなか決まらない。実績は十分すぎるほどあり、守備にも定評がある。やはり、年齢がネックになっているのだろうか。

 このエントリーでは村田の直近の成績や村田とキャリアスタッツの似た選手と比較しながら、来期以降の成績について考えてみたい。

直近3シーズンの成績と来期の予測値

 まず、村田の直近3シーズンの成績と来期の予測値を確認しておこう。

SeasonTmAgePAHRBB%K%HR%ISOBABIPAVGOBPSLGOPS
2015巨人35370127.1%17.8%3.3%.136.259.236.310.373.683
2016巨人36576256.6%14.5%4.4%.202.319.302.354.505.858
2017巨人37424148.0%14.9%3.3%.160.281.262.331.423.754
来期予測-38375127.3%16.3%3.3%.158.291.265.327.421.748

 村田のキャリアハイとなると2008年のベイスターズ時代ということになるだろう(OPS1.062)。次が2007年か2013年(2007年がOPS.929、2013年が.896)。
 私見ではこれらの成績に次ぐのが一昨年、2016年の成績であり、これが村田に対して諦めがたい印象を与えているのではないかと思う。

 また村田の特徴としては怪我が少なく稼働率の計算が立てやすいというのがある。成績には浮き沈みがあるものの一定程度(リーグ平均より上)は期待でき、怪我による離脱についてはほとんど考えなくてよいというのは大きなメリットだろう。

 とはいうものの、昨年や一昨昨年の成績では主軸をまかせるには物足りないし、デルタのUZRから判断するに守備力も落ちてきていることを考えるとレギュラーとして起用するのは難しいかもしれない。さりとて、戦力にならないという成績では決してない。

村田とキャリアの似た選手

 村田が今後たどるであろう成績の推移をイメージするために、37歳時点で村田とキャリアスタッツの似た選手を3人ピックアップした。これらの選手は成績が似ているだけでなく、右打者でサード、ファーストを主に守った(守っている)選手でもある。いわゆる類似性スコアを少し改良したものをもとに選定した結果である。

Season選手AgePAHRBB%K%HR%ISOBABIPAVGOBPSLGOPS
2003-2017村田修一3777543607.3%19.0%4.7%.209.291.269.337.479.816
1999-2014新井貴浩3773862807.2%19.5%3.8%.179.312.277.335.456.791
1992-2010中村紀洋37789237811.2%19.4%4.8%.214.289.266.355.480.836
1989-2004初芝清3763512317.4%17.0%3.7%.191.287.265.327.456.783

 初芝はこの翌年に引退してしまうが、新井はまだ現役だし、中村も41歳のシーズンまでベイスターズでプレーした。こういった選手の成績は村田の未来を占う上で参考になるのではないかと思う。

 3選手の35歳以降のシーズン成績。

新井 貴浩 (2012-2017)

SeasonTmAgePAHRBB%K%HR%ISOBABIPAVGOBPSLGOPS
2012阪神3549395.7%17.3%1.8%.113.288.250.296.363.659
2013阪神365481510.5%20.2%2.8%.137.313.267.350.403.754
2014阪神3719436.8%17.2%1.6%.085.284.244.309.330.639
2015広島3848079.8%15.2%1.5%.110.314.275.348.385.733
2016広島395131910.4%19.7%3.7%.185.346.300.372.485.857
2017広島40288913.9%19.4%3.1%.169.341.292.389.461.850

中村 紀洋 (2008-2014)

SeasonTmAgePAHRBB%K%HR%ISOBABIPAVGOBPSLGOPS
2008中日35557248.5%21.9%4.4%.187.314.274.340.460.800
2009楽天3629429.3%14.1%0.7%.065.253.221.297.285.582
2010楽天37521138.1%16.2%2.5%.131.299.266.329.397.726
2011横浜3812617.1%21.4%0.8%.070.258.209.262.278.540
2012DeNA39500119.8%14.4%2.2%.133.301.274.346.407.753
2013DeNA40473146.6%14.0%3.0%.146.301.281.334.427.761
2014DeNA4156010.7%17.9%0.0%.041.300.245.321.286.607

初芝 清 (2002-2005)

SeasonTmAgePAHRBB%K%HR%ISOBABIPAVGOBPSLGOPS
2002ロッテ35451178.2%21.3%3.8%.164.247.223.295.387.682
2003ロッテ3613545.3%12.8%3.0%.216.333.312.356.528.884
2004ロッテ3718264.4%16.5%3.3%.182.309.282.319.465.783
2005ロッテ385617.1%21.4%1.8%.100.263.220.286.320.606

 新井は38歳のシーズンにタイガースからカープに移籍(出戻り)し、見事に復活した。キャリアの終盤に成績をV字回復させた例と考えて良いだろう。

 中村紀洋も超低反発球のシーズンなのでわかりにくいかもしれないが2012年の成績はリーグ平均と比較してかなりよい成績である。

 以下はOPSと打席の過去3シーズンの後方移動平均をグラフにしたもの。

OPS移動平均

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打席移動平均

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 全選手に共通しているのは出場機会(打席)は基本的に右肩下がりで減らしていくということで、村田も既にその傾向は見て取れる(というか、その延長で自由契約になったということだが)。

 OPSでは、初芝は成績を落としていって引退と言う流れだが(もう少し粘ってもいい成績だった)、新井と中村はキャリアの最終盤で持ち直すタイミングが来ている。
 村田の場合はこの数年は3年単位でみれば成績は安定しており、1、2年おきによく打つシーズンが巡ってくる感じなのだが、現状維持でもそこそこの戦力だといえる。さらに他の選手と違い、成績が急激に落ち込むような時期がまだ来ておらず、引退を考えるには早いだろうし、新井や中村の例を参照すれば、おそらくあと2〜3年はそれなりの成績を残しつつ現役を続けられるだけの力はあるはずだ。

プラトーン起用と移籍先候補

 もちろん、年齢や守備力の低下を考えれば出場機会の減少は避けられないだろうが、例えば、対左投手に限定すればこの数年に限ってもプラトーンの一角と考えれば十分な成績は残していたりする。

村田の対左投手成績(2015-2017)

SeasonTmAgePAHRBB%K%HR%ISOBABIPAVGOBPSLGOPS
2015巨人35104313.5%12.5%2.9%.146.338.315.404.461.865
2016巨人36172114.7%10.5%6.4%.244.274.293.326.537.862
2017巨人3713079.2%10.0%5.4%.212.276.288.354.500.854

 村田の場合、守備的な衰えも考慮しなければならないのだが、単純に打撃だけの評価であれば起用法次第ではまだまだ一線級の活躍も可能だろうということだ。

ahoudata.hatenadiary.jp

 さて、移籍先ということで言えば、昨シーズンの成績あるいは今シーズンの予測値からファーストとサードが弱く、支配下枠にも余裕があるということでは、スワローズとマリーンズが有力な候補になる。

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 あるいは、サードとファーストで対左投手に難があるチームも候補となるだろう。

 以下は昨年、ファーストとサードのポジションで対左投手の打撃成績が悪かったチームをピックアップした。

チームLgPosPAHRAVGOBPSLGOPSwOBAwRC+
日本ハムPL1B1001.146.210.236.446.21121
ロッテPL1B1110.233.282.282.563.26058
広島CL3B1900.236.281.270.551.26262
オリックスPL3B1010.245.290.277.567.27363
ヤクルトCL3B1301.223.304.304.608.28666
阪神CL3B1970.222.316.269.585.28380
中日CL3B1115.214.252.388.641.28681
楽天PL1B1391.264.312.341.653.29681
ヤクルトCL1B1555.232.307.384.691.32391
楽天PL3B1362.248.331.339.670.31795

 ここに挙げたチームは、超有望新人をドラフトで獲得したり、ポジションに聖域的な選手がいるのでなければ、村田の獲得を検討してみる価値はあるのではないだろうか。