打球種別の打撃成績

打球種別のスタッツ

  • 2015年から2017年まで
  • バントは含まず
打球PA%HR%ISOBABIPAVGwOBA
ゴロ6454747.6%0.0%.012.240.240.239
フライ5846343.1%6.9%.329.266.323.420
ライナー125019.2%0.0%.116.746.746.706

 フライボール革命は狭義にはいわゆるバレルゾーンを意識して行うバッティング理論だが、これを拡大解釈してゴロからフライへの転換と考えれば打撃スタッツに与える影響はどういったものがあるだろうか。

 上記の表は2015年から2017年までの打球種別のデータを集計したもの。

 ゴロとフライを比較した場合、フライの方がはるかに生産性の高い打球であることがわかる。本塁打のありなし、長打(ISO)の割合、ヒットになりやすさ(BABIP)など。

 ちなみに得点価値でいえば、ゴロが約-0.07。フライが約0.08。打球あたりで0.15点の違いがある。
 つまり、ゴロ100球がフライに変わることで15点の違いが生まれることになる。

 もちろん、ただ闇雲にフライを打ち上げれば良いというものではないだろうから、選手個人単位ではフライを増やすにも限度があるが、チーム単位で改革を行えば得点力に大きな違いが出てくるだろう。

チーム別の外野フライ率の増減とwRC+の比較

 増減は2015年と2016年、2016年と2017年の平均を比較した場合の増減。

OF%wRC+増減
Lgチーム201520162017201520162017OF%wRC+
CL広島32.8%34.1%35.9%1021191271.051.11
PLオリックス33.4%34.0%36.4%9494941.041.00
PL西武34.0%34.0%35.9%1061001111.031.02
CL阪神31.8%34.6%33.3%101891081.021.04
CLDeNA31.8%31.7%33.1%9593971.021.01
PL楽天32.5%33.5%33.4%85931021.011.10
CL巨人33.1%34.6%33.7%99103961.010.99
PL日本ハム33.4%31.9%33.8%106108911.010.93
PLロッテ34.1%35.3%34.1%94101851.000.95
PLソフトバンク34.2%33.5%33.8%1121021160.991.02
CLヤクルト32.5%31.7%30.7%103100760.970.87
CL中日33.0%31.9%28.8%9995930.940.97

 フライ打球を増やすといっても内野フライばかりが増えては逆にマイナスになる。内野フライは三振とほぼ同じで、出塁できる確率はほとんどない。なので、上の表では外野フライ(本塁打含む)が増えたかどうかを対象にしている。
 ちなみに、ここでの外野フライ(OF%)とは内野手が処理に関わっていないフライ打球のことで、実際には内野手が外野手のポジション近くまでいって捕球を行うこともある点は留意しておきたい。

 さて、残念ながらフライ打球が増えたからといって必ずしも得点力が上がっているわけではないようだ。もっとも、得点力、あるいは打球が安打になるかどうかには様々な要素が絡むし、特に今回のデータでは打球種のみで打球の強さがわからないのでこんなものだろう。

 デルタのサイトを参照すると2014年〜2017年までのチーム別のデータでBABIPと打球の強さ(Soft%〜Hard%)との関係を調べると、フライ打球に関しては、Soft%が相関係数-0.62、Hard%が0.52だった。

 なので、フライ打球のHard%が高い傾向にあるチーム、例えばカープはフライ打球が増えることで得点力も増しているが、フライ打球のHard%がそれほど高くないチーム、例えばバファローズはフライ打球が増えてもあまり効果がでていないということだろうと思う。

1point02.jp

2015年〜2017年でフライ打球の割合を増やした選手

  • 各年200打席以上
  • 2015年と2016年、2016年と2017年の平均を比較した場合の増減
FB%HR%ISO
No選手T201520162017201520162017201520162017
1柳田悠岐43.8%44.4%60.5%5.7%3.4%5.7%.269.217.279
2聖澤諒33.3%40.0%49.2%0.0%1.4%0.4%.062.095.091
3丸佳浩42.5%52.9%56.3%3.0%3.1%3.5%.164.190.198
4鈴木誠也53.8%62.3%66.5%2.2%5.5%5.1%.128.277.247
5栗山巧西41.7%46.1%53.6%1.6%0.5%2.4%.103.090.120
6松山竜平52.6%55.6%64.3%3.1%3.6%3.6%.168.173.209
7浅村栄斗西53.2%61.4%62.4%2.1%3.9%3.0%.115.201.162
8駿太46.8%51.1%55.9%0.5%0.4%0.6%.054.037.122
9T-岡田52.7%57.1%59.6%2.6%3.9%5.2%.144.187.222
10ウィーラー55.1%58.1%61.4%4.5%4.6%5.2%.197.213.221
11大引啓次41.4%37.5%47.1%1.5%1.3%1.7%.113.095.095
12ロペスD58.0%60.2%62.8%4.4%6.6%5.0%.205.271.232
13鈴木大地53.4%56.0%58.1%1.1%1.1%1.9%.103.104.138
14田村龍弘40.1%46.3%44.7%0.6%0.5%0.9%.059.075.087
15亀井善行57.2%57.7%61.6%1.4%1.3%2.2%.102.102.138

 柳田はフライ打球の割合を増やすことで長打力を復活させた。

 この中でフライ打球の割合が増えているのにも関わらず長打が減っているのはスワローズの大引だけで、その他は基本的にフライ打球の増加と長打の増加がリンクする形になっている。