2018年 広島カープ レビュー

各指標について
  • O/U=貯金、RD=得失点差、BatはwOBAのリーグ平均比から得点換算した値(パークファクター補正あり)=打撃での得点貢献値、BsRは走塁の得点貢献値、PitはFIPのリーグ平均比から得点換算した値(パークファクター補正あり)=投球での得点貢献値
  • Fldはゴロ等の打球種別の処理率(アウトにした割合)から得点換算し守備の得点貢献値としたもの。UZRとは異なるので注意
  • OffはBat+BsR、DefはPit+Fld、TotalはOff+Def、xW%は得点貢献値から算出した期待勝率
  • ポジション別打撃・投球得点貢献値のSP、RPはそれぞれ先発投手と救援投手の投球での得点貢献値、その他は各ポジションの打撃での得点貢献値(各ポジションのリーグ平均比)
  • 今シーズンの予測値および成績予測の方法について(リンク
チーム概況
■ リーグスタッツ
2018年 セ・リーグ スタッツ (10月7日現在)
TmWLW%GBRS/9RA/9RDwOBABABIPFIPDERLOB%BatBsRPitFldTotalxW%
広島
8259.5820.05.104.5770.352.3084.57.69372.2 %97.45.2-16.54.190.1.552
ヤクルト
7566.5327.04.664.70-7.338.3034.54.69071.0 %-37.6-0.542.1-20.8-16.8.480
巨人
6771.48613.54.404.0550.329.3044.38.69975.1 %-6.8-6.837.723.247.4.527
6774.47515.04.044.55-70.322.2824.34.68172.7 %-41.7-3.241.0-13.9-17.7.478
中日
6378.44719.04.234.66-56.320.3124.91.70372.4 %8.50.5-109.739.5-61.1.450
6279.44020.04.044.43-51.317.3074.22.68272.2 %-27.84.71.9-32.0-53.3.454
Glossary
W: 勝数
L: 敗数
W%: 勝率
GB: ゲーム差
RS/9: 9イニングあたりの平均得点率
RA/9: 9イニングあたりの平均失点率
RD: 得失点差
wOBA: 総合的な打撃成績
BABIP: インプレー打球あたりの打率
FIP: 守備から独立した投手成績
DER: インプレー打球あたりの奪アウト率
LOB%: 残塁
Bat: 打撃による得点貢献値
BsR: 走塁による得点貢献値
Pit: 投球による得点貢献値
Fld: 守備による得点貢献値
Total: 得点貢献値の合計
xW%: 期待勝率


■ 貯金・得失点差

f:id:verdoux:20180929045257p:plain:w400 f:id:verdoux:20180929045259p:plain:w400

■ 得点貢献値 前年比・予測比
2018年 広島カープ / 得点貢献値 前年比・予測比 (10月7日現在)
SeasonBatBsRFldPitOffDefTotal
前年度(2017)157.821.316.422.7179.139.0218.2
予測値(2018)93.36.018.45.999.324.3123.7
実績値(2018)97.45.24.1-16.5102.6-12.490.1
差(前年度-実績値)-60.4-16.1-12.3-39.2-76.6-51.5-128.0
差(予測値-実績値)4.0-0.8-14.3-22.43.2-36.8-33.5
Glossary
Bat: 打撃による得点貢献値
BsR: 走塁による得点貢献値
Fld: 守備による得点貢献値
Pit: 投球による得点貢献値
Off: 打撃と走塁による得点貢献値の合計
Def: 投球と守備による得点貢献値の合計
Total: 得点貢献値の合計


 昨年同様、独走しての優勝ではあったが、得失点差の推移が如実に物語るように、昨年のように突き抜けた戦力で勝ち続けたというわけではなかった。相対的な戦力値でいうなら、打撃(Bat)も投手(Pit)も守備(Fld)も昨年から低下している。

 予測値との差異で言えば、全体的にはほぼ予測値どおりといって良い成績だったが、守備と投手は予測値を下まわり、来季の課題となるのではないかと思う。

 

デプスチャート
■ ポジション別打撃・投球得点貢献値
2018年 セ・リーグ ポジション別打撃・投球得点貢献値 (10月7日現在)
TmC1B2BSS3BRFCFLFDHPHPSPRP
広島
27.7-8.4-13.411.9-5.135.359.0-16.93.73.81.2-2.3-14.1
巨人
-5.08.1-23.749.510.3-17.7-9.0-11.8-1.8-0.4-3.032.76.6
ヤクルト
-19.6-2.641.4-18.8-17.2-28.22.4-1.5-0.4-4.65.521.420.0
-16.8-6.9-18.0-19.317.6-7.6-4.217.02.5-2.1-4.67.132.7
16.0-22.69.0-4.3-0.86.2-42.3-1.7-2.310.55.30.21.2
中日
-1.631.9-0.2-19.9-6.012.4-9.313.9-1.6-7.0-4.7-64.5-43.7


■ ポジション別得点貢献値(2017年 / 2018年)

f:id:verdoux:20180929045302p:plain:w400 f:id:verdoux:20180929045305p:plain:w400

■ デプスチャート(2017年 / 2018年)

※ ()内の数値はwRC+(投手はFIP-)、右側の%は当該ポジションでの守備イニングの占有率

f:id:verdoux:20181018115711p:plain:w440 f:id:verdoux:20180929045308p:plain:w440

■ ポジション別打撃・投球得点貢献値 前年比・予測比
2018年 広島カープ ポジション別打撃・投球得点貢献値 前年比・予測比 (10月7日現在)
SeasonC1B2BSS3BRFCFLFDHSPRP
前年度(2017)14.128.214.627.9-9.826.335.25.90.116.86.0
予測値(2018)4.87.45.514.20.331.020.89.00.2-1.87.7
実績値(2018)27.7-8.4-13.411.9-5.135.359.0-16.93.7-2.3-14.1
差(前年度-実績値)13.6-36.6-27.9-16.04.79.023.7-22.83.6-19.1-20.1
差(予測値-実績値)22.9-15.8-18.9-2.3-5.44.338.2-25.93.5-0.5-21.8


 前述したチーム全体の打撃の貢献値では昨年と比較しておよそ60点ほどマイナスになっているのだが、ポジション別の成績で比較すればよりわかりやすくなるのではないかと思う。

 2017と2018のグラフを見比べると分かるように、昨年はどのポジションも満遍なく成績をあげ、ほとんど隙のない布陣といってよかったが、今年はは特定のポジション(C、RF、CF)に貢献が集中しており、その他のポジションはマイナスかほとんど貢献がない状態だった。

 予測値との差異で言えば、C(會澤)とCF(丸)が大幅にプラスでこの二人の予想以上の活躍がなければ難しいシーズンになっていたかもしれない。また、1B、2B、LFは予測値からみて大幅にマイナスで、1Bは他球団の選手が良く打っていたというのもあるので仕方ない面もあるが、LFに関しては、レフトにしては物足りない打力の野間を主に起用しており、ここは明確に課題と言えるだろう。

 

主要選手の成績

※ Diff/yは打撃(投球)得点貢献値の前年比、Diff/pは予測比

■ 打撃成績
2018年 広島カープ 打撃成績 (10月7日現在)
NamePAHRRRBISBBB%K%HR%ISOBABIPAVGOBPSLGwOBAwRC+BatDiff/yDiff/pPos
田中広輔(29)* #26751092603210.8 %17.7 %1.5 %.121.312.262.362.383.3361043.1-27.0-14.9
SS/143
菊池涼介(28) #33642138560108.0 %18.2 %2.1 %.122.270.233.301.355.30783-12.2-21.6-23.1
2B/139
鈴木誠也(24) #51520308694416.6 %22.4 %5.8 %.299.374.320.438.618.45318651.012.53.1
RF/116
丸佳浩(29)* #956639109971021.9 %23.3 %7.0 %.322.352.306.468.627.46719762.418.631.0
CF/122, LF/1
松山竜平(33)* #4444612467428.6 %10.4 %2.7 %.164.314.302.368.466.37613216.4-11.73.4
1B/56, LF/48, DH/5
會澤翼(30) #2737713424209.3 %15.3 %3.5 %.187.332.305.401.492.39414519.312.920.3
C/103
安部友裕(29)* #62524322477.4 %24.8 %1.7 %.141.304.236.306.377.31891-2.5-13.9-7.2
1B/19, 2B/5, 3B/57
西川龍馬(24)* #633616444656.8 %14.4 %1.7 %.141.351.309.364.450.3641249.66.48.0
1B/3, 2B/1, 3B/86
野間峻祥(25)* #3744756446176.8 %15.6 %1.1 %.106.333.286.343.393.3401073.59.43.9
RF/25, CF/29, LF/81
バティスタ(26) #9530225385507.4 %27.2 %8.4 %.304.243.242.308.546.37212910.11.8-6.2
1B/42, RF/1, LF/30, DH/1
NamePAHRRRBISBBB%K%HR%ISOBABIPAVGOBPSLGwOBAwRC+BatDiff/yDiff/pPos
エルドレッド(38) #55945814011.7 %20.2 %5.3 %.300.214.213.330.513.3851394.1-21.0-15.9
1B/18
新井貴浩(41) #25132472409.9 %19.8 %3.1 %.149.239.219.295.368.32496-0.7-16.8-11.3
1B/24, DH/3
石原慶幸(39) #3110716703.0 %26.7 %1.0 %.042.232.177.223.219.20813-10.5-2.0-2.8
C/57
磯村嘉孝(26) #409116405.9 %14.1 %1.2 %.063.242.215.279.278.25748-5.3-6.3-4.9
C/34
小窪哲也(33) #42802300.0 %25.9 %0.0 %.192.421.308.357.500.3661250.85.91.8
2B/4, 3B/7
Glossary
PA: 打席
HR: 本塁打
R: 得点
RBI: 打点
SB: 盗塁
BB%: 打席あたりの四球率
K%: 打席あたりの奪三振
HR%: 打席あたりの本塁打
ISO: 長打率−打率
BABIP: インプレー打球あたりの打率
AVG: 打率
OBP: 出塁率
SLG: 長打率
wOBA: 総合的な打撃成績
wRC+: 総合的な打撃成績の傑出度
Bat: 打撃による得点貢献値
Diff/y: 貢献値の前年度との差
Diff/p: 貢献値の予測値との差
Pos: 守備位置(数字は試合数)


■ 投手成績
2018年 広島カープ 投手成績 (10月7日現在)
NameWLSVGGSIPK%BB%K-BB%HR%BABIPLOB%GB%HR/FBERAFIPxFIPFIP-PitDiff/yDiff/p
大瀬良大地(27) #1415702727182.021.9 %5.4 %16.5 %3.0 %.24278.2 %43.8 %8.8 %2.623.663.63918.25.67.1
岡田明丈(25) #178702624138.018.9 %10.1 %8.8 %2.2 %.30264.4 %48.9 %7.2 %5.094.114.36101-0.50.5-0.4
野村祐輔(29) #197602020119.111.7 %5.8 %5.8 %1.9 %.30668.8 %53.8 %6.3 %4.224.014.44990.7-2.73.4
ジョンソン(34)* #4211502424144.218.6 %7.2 %11.3 %1.5 %.29576.1 %59.8 %6.7 %3.113.393.638510.98.88.1
九里亜蓮(27) #128402419120.116.4 %7.6 %8.8 %2.5 %.30573.2 %50.6 %8.4 %4.264.204.25103-1.8-5.50.9
中村祐太(23) #673409844.215.1 %9.8 %5.4 %3.9 %.30066.4 %34.5 %10.3 %6.045.745.39138-8.4-6.1-2.8
中﨑翔太(26) #21423268066.119.1 %8.9 %10.2 %2.4 %.29584.7 %51.7 %8.3 %2.714.034.09990.3-2.3-1.4
薮田和樹(26) #232109426.213.4 %23.9 %-10.4 %3.0 %.30470.4 %43.4 %9.8 %5.747.447.23175-10.0-11.9-4.0
一岡竜司(27) #3056259056.125.6 %8.4 %17.2 %2.9 %.26482.5 %40.3 %8.6 %2.883.643.65902.7-6.41.1
今村猛(27) #1632143038.120.2 %11.6 %8.7 %2.9 %.28863.5 %44.0 %9.1 %5.174.644.56113-2.5-4.6-4.6
NameWLSVGGSIPK%BB%K-BB%HR%BABIPLOB%GB%HR/FBERAFIPxFIPFIP-PitDiff/yDiff/p
ジャクソン(31) #5832148045.223.9 %12.4 %11.4 %3.0 %.30087.5 %57.9 %13.6 %2.764.443.82108-1.9-4.7-4.9
福井優也(30) #110303315.019.4 %7.5 %11.9 %7.5 %.29556.3 %36.7 %17.2 %8.406.724.58160-4.5-3.70.5
アドゥワ誠(20) #4862053067.110.2 %11.9 %-1.7 %1.4 %.26275.2 %60.5 %5.8 %3.744.655.04113-4.4-4.4-4.4
フランスア(25)* #9734147265.030.3 %12.4 %18.0 %1.1 %.23883.1 %50.0 %4.5 %1.662.853.40738.88.88.8
中田廉(28) #2601015012.117.9 %7.5 %10.4 %3.0 %.44440.4 %36.2 %7.4 %13.144.504.87109-0.6-3.21.2
Glossary
W: 勝数
L: 敗数
SV: セーブ
G: 試合
GS: 先発
IP: 投球回
K%: 打席あたりの奪三振
BB%: 打席あたりの四球率
K-BB%: 奪三振率−与四球率
HR%: 打席あたりの本塁打
BABIP: インプレー打球あたりの打率
LOB%: 残塁
GB%: ゴロ率
HR/FB: フライ打球あたりの本塁打
ERA: 防御率
FIP: 守備から独立した投手成績
xFIP: 守備から独立した投手成績
FIP-: 守備から独立した投手成績の傑出度
Pit: 投球による得点貢献値
Diff/y: 貢献値の前年度との差
Diff/p: 貢献値の予測値との差


 選手個々の成績では、田中と菊池の打撃成績が予測値を大幅に下まわった。カープでは通常、この二人が一二番を打つので打線に与える影響は大きい。

 予測値と比較して大幅にプラスだったのは、丸と會澤。ある意味では、田中と菊池の不振分を丸と會澤の打撃の上積みで吸収したと言えるだろう。

 投手では、大瀬良は被本塁打の多さを除けばエース級といって良い成績だった。ジョンソンは奪三振、与四球はそこそこだったものの、被本塁打の低さが好成績につながった。この二人は予測値からみて上積みとなった。

 期待の高かった薮田は昨シーズンと比べて球速が大幅に低下し、また武器であるツーシーム(というかスプリッター)の精度も落ち、ほとんど活躍できなかった。リリーフではジャクソンが期待値ほどの活躍は出来なかったが、フランスアがサプライズとなった。

 

プロスペクトの成績
  • プロスペクトの対象条件
    • ドラフト入団
    • 今年27歳以下
    • 入団時18歳以下の選手は入団から6年目以内
    • 入団時19歳以上の選手は入団から4年目以内
    • 野手は一軍通算打席数が500打席未満
    • 投手は一軍通算投球回が120回未満もしくは一軍通算登板数が50試合未満
■ 打撃成績
2018年 広島カープ 打撃成績 (10月7日現在)
NamePAHRRRBISBBB%K%HR%ISOBABIPAVGOBPSLGwOBAwRC+BatPos
野間峻祥(25)* #3744756446176.8 %15.6 %1.1 %.106.333.286.343.393.3401073.5
RF/25, CF/29, LF/81
西川龍馬(24)* #633616444656.8 %14.4 %1.7 %.141.351.309.364.450.3641249.6
1B/3, 2B/1, 3B/86
曽根海成(23)* #592203219.5 %42.9 %0.0 %.111.556.278.381.389.3511130.3
2B/5, RF/1, LF/1
髙橋大樹(24) #501601006.3 %25.0 %0.0 %.067.455.333.375.400.3401060.1
RF/1, CF/3, LF/1
坂倉将吾(20)* #619011011.1 %11.1 %0.0 %.125.143.125.222.250.326970.0
C/5
Glossary
PA: 打席
HR: 本塁打
R: 得点
RBI: 打点
SB: 盗塁
BB%: 打席あたりの四球率
K%: 打席あたりの奪三振
HR%: 打席あたりの本塁打
ISO: 長打率−打率
BABIP: インプレー打球あたりの打率
AVG: 打率
OBP: 出塁率
SLG: 長打率
wOBA: 総合的な打撃成績
wRC+: 総合的な打撃成績の傑出度
Bat: 打撃による得点貢献値
Pos: 守備位置(数字は試合数)


2018年 広島カープ 打撃成績(ファーム) (9月28日現在)
NamePAHRRRBISBBB%K%HR%ISOBABIPAVGOBPSLGOPSwRC+Pos
桒原樹(22)* #4539723826156.2 %15.8 %0.5 %.081.299.253.304.333.63788
3B/5, 2B/44, SS/62
髙橋大樹(24) #5039610383537.3 %14.1 %2.5 %.150.299.272.338.422.761124
OF/97
中村奨成(19) #222314251666.6 %12.7 %1.7 %.098.215.201.257.299.55661
C/51
永井敦士(18) #60173210714.1 %33.9 %1.2 %.050.218.149.199.199.398-4
OF/57
坂倉将吾(20)* #611734162944.1 %16.9 %2.3 %.217.383.329.372.547.919185
C/37
船越涼太(25) #54134012408.3 %17.3 %0.0 %.042.289.237.308.280.58867
OF/10, C/33
青木陸(21) #69110071104.5 %20.0 %0.0 %.019.259.204.255.223.47835
1B/38, 3B/6, OF/2
木村聡司(22) #12394014903.2 %14.0 %0.0 %.033.312.267.290.300.59063
3B/5, 2B/31, SS/1
曽根海成(23)* #5946011126.8 %25.0 %0.0 %.098.433.317.378.415.792127
1B/2, 3B/5, 2B/1, OF/1, SS/4
西川龍馬(24)* #634604526.5 %6.5 %0.0 %.024.308.286.348.310.65785
3B/7, 2B/1, SS/5
NamePAHRRRBISBBB%K%HR%ISOBABIPAVGOBPSLGOPSwRC+Pos
野間峻祥(25)* #372203420.0 %13.6 %0.0 %.100.444.400.409.500.909197
OF/6
Glossary
PA: 打席
HR: 本塁打
R: 得点
RBI: 打点
SB: 盗塁
BB%: 打席あたりの四球率
K%: 打席あたりの奪三振
HR%: 打席あたりの本塁打
ISO: 長打率−打率
BABIP: インプレー打球あたりの打率
AVG: 打率
OBP: 出塁率
SLG: 長打率
OPS: 出塁率+長打率
wRC+: 総合的な打撃成績の傑出度
Pos: 守備位置(数字は試合数)


■ 投手成績
2018年 広島カープ 投手成績 (10月7日現在)
NameWLSVGGSIPK%BB%K-BB%HR%BABIPLOB%GB%HR/FBERAFIPxFIPFIP-Pit
アドゥワ誠(20) #4862053067.110.2 %11.9 %-1.7 %1.4 %.26275.2 %60.5 %5.8 %3.744.655.04113-4.4
中村祐太(23) #673409844.215.1 %9.8 %5.4 %3.9 %.30066.4 %34.5 %10.3 %6.045.745.39138-8.4
高橋樹也(21)* #460019221.116.7 %5.9 %10.8 %3.9 %.37068.9 %37.7 %9.8 %5.914.954.69120-2.2
高橋昂也(20)* #341206621.015.5 %14.5 %0.9 %4.5 %.34759.0 %46.8 %14.7 %9.436.895.62163-6.6
藤井皓哉(22) #411008014.228.8 %8.2 %20.5 %2.7 %.42967.5 %36.4 %8.3 %6.143.473.54870.9
飯田哲矢(27)* #3900014013.025.8 %8.1 %17.7 %4.8 %.37874.5 %42.5 %15.0 %6.234.823.56117-1.1
長井良太(19) #65000403.10.0 %26.3 %-26.3 %5.3 %.23152.6 %28.6 %14.3 %13.5011.5210.00264-2.7
Glossary
W: 勝数
L: 敗数
SV: セーブ
G: 試合
GS: 先発
IP: 投球回
K%: 打席あたりの奪三振
BB%: 打席あたりの四球率
K-BB%: 奪三振率−与四球率
HR%: 打席あたりの本塁打
BABIP: インプレー打球あたりの打率
LOB%: 残塁
GB%: ゴロ率
HR/FB: フライ打球あたりの本塁打
ERA: 防御率
FIP: 守備から独立した投手成績
xFIP: 守備から独立した投手成績
FIP-: 守備から独立した投手成績の傑出度
Pit: 投球による得点貢献値


2018年 広島カープ 投手成績(ファーム) (9月28日現在)
NameWLSVGGSIPK%BB%K-BB%HR%BABIPLOB%ERAFIPFIP-
加藤拓也(24) #13641201176.214.8 %16.2 %-1.4 %1.4 %.29771.8 %4.934.53137
高橋昂也(20)* #34430131168.028.7 %5.7 %22.9 %1.1 %.31065.5 %3.181.9866
塹江敦哉(21)* #3625023652.119.6 %11.7 %7.8 %2.6 %.27362.1 %4.994.22128
中村祐太(23) #6734011950.117.2 %4.9 %12.3 %2.5 %.28883.0 %2.503.34104
平岡敬人(23) #6805012846.215.9 %12.0 %3.8 %1.0 %.34063.5 %5.403.79116
高橋樹也(21)* #462209633.119.1 %6.4 %12.8 %0.7 %.34674.0 %2.702.3677
横山弘樹(26) #2414427233.016.9 %9.7 %7.1 %1.3 %.33363.9 %5.733.54109
長井良太(19) #6511227132.117.2 %8.2 %9.0 %1.5 %.26569.1 %3.063.19100
藤井皓哉(22) #4102524024.217.9 %13.2 %4.7 %0.9 %.23966.5 %4.013.59111
ケムナ誠(23) #2901015121.215.6 %11.5 %4.2 %1.0 %.26962.1 %4.573.80116
NameWLSVGGSIPK%BB%K-BB%HR%BABIPLOB%ERAFIPFIP-
山口翔(19) #471205421.019.4 %15.3 %4.1 %2.0 %.34460.8 %6.434.50135
床田寛樹(23)* #281108420.022.4 %5.3 %17.1 %2.6 %.22685.5 %2.252.9894
遠藤淳志(19) #660104420.010.7 %6.7 %4.0 %2.7 %.18378.9 %2.254.03123
飯田哲矢(27)* #3900020020.021.2 %9.4 %11.8 %0.0 %.28674.1 %3.152.6384
オスカル(27)* #5721015016.016.4 %6.0 %10.4 %1.5 %.27161.2 %3.943.53108
辻空(24) #56000202.028.6 %0.0 %28.6 %0.0 %.40050.0 %4.500.7835
アドゥワ誠(20) #48000101.00.0 %0.0 %0.0 %0.0 %.0000.0 %0.002.7890
Glossary
W: 勝数
L: 敗数
SV: セーブ
G: 試合
GS: 先発
IP: 投球回
K%: 打席あたりの奪三振
BB%: 打席あたりの四球率
K-BB%: 奪三振率−与四球率
HR%: 打席あたりの本塁打
BABIP: インプレー打球あたりの打率
LOB%: 残塁
ERA: 防御率
FIP: 守備から独立した投手成績
FIP-: 守備から独立した投手成績の傑出度


■ デプスチャート(ファーム)

※ ()内の数値はwRC+(投手はFIP-)、右側の%は当該ポジションでの出場試合数の占有率

f:id:verdoux:20180929045310p:plain:w440

 既に一軍の戦力になっている野間や西川を除けば、内外野とも若干心許ない。髙橋大樹はそろそろ何かしらの結果が欲しいところではないか。そんな中でも捕手の坂倉は一年目の昨年から二年連続で素晴らしい成績を残した。来季は一軍で多少まとまった打席数を与えてみて欲しいところだ。

 投手に関しては、以前の記事(リンク)でも書いたように、ドラフトからの戦力化があまり上手くいっていない。そんな中で、今年のファーム成績から見れば、高橋昂也、高橋樹也、床田寛樹の左腕三人は期待の持てそうな成績を残している。特に、高橋昂也は一軍では結果を残せなかったものの、ファーム成績は図抜けたものがある。彼らをどうやって戦力化していくかというのが来季の課題になるだろう。

 また、プロスペクト条件には当てはまってないが、ファームではメヒアが傑出した打撃成績を上げている。

 それと、これは余談だが、今年のカープの投手を見ていて一つ不安に思ったのが、球速を低下させた投手が結構いることだ。薮田に関しては既に触れたが、薮田以外でも岡田、今村、中村祐太、藤井皓哉らが球速を落としている。今村はこれまでの起用のされ方をみれば然もありなんなのだが、その他の投手は特に酷使されたわけでもなく、年齢的にも若い。何が原因で球速低下が起こっているのか分からないが、コーチやトレーナーはシビアに受け止めた方が良いのではないかと思う。球速が全てではないにしても速いほうが打たれにくいのは事実だし(リンク)、もし本人が意識的に球速を抑えているのでなければ、フォームなどに狂いが出ているのかもしれない。カープは12球団で唯一トラックマンを導入していない球団なのだが、それが必ずしも関係しているとは言えないものの、何かしらの予兆を見逃しているということはないだろうか。

 

丸佳浩の打撃スタイルの変化

 丸の2016年から2018年にかけての成績の変化を見ていこう。

丸佳浩* / Dashboard (10月7日現在)
SeasonLgTmAgePAHRSBBB%K%HR%ISOBABIPAVGOBPSLGwOBAwRC+Bat
2016
CL
広島
27
652202312.8 %16.5 %3.1 %.190.328.291.389.481.39615033.7
2017
CL
広島
28
651231312.8 %17.4 %3.5 %.198.347.308.398.505.39816443.8
2018
CL
広島
29
566391021.9 %23.3 %7.0 %.322.352.306.468.627.46719762.4
Glossary
PA: 打席
HR: 本塁打
SB: 盗塁
BB%: 打席あたりの四球率
K%: 打席あたりの奪三振
HR%: 打席あたりの本塁打
ISO: 長打率−打率
BABIP: インプレー打球あたりの打率
AVG: 打率
OBP: 出塁率
SLG: 長打率
wOBA: 総合的な打撃成績
wRC+: 総合的な打撃成績の傑出度
Bat: 打撃による得点貢献値


丸佳浩* / Batted Ball (10月7日現在)
SeasonLgTmAgePAGB/FBLD%GB%FB%IFFB%HR/FBIFH%BABIP
2016
CL
広島
27
6521.1110.6 %47.1 %42.3 %10.4 %10.4 %11.0 %.328
2017
CL
広島
28
6510.9610.6 %43.7 %45.7 %11.7 %11.2 %5.6 %.347
2018
CL
広島
29
5660.858.9 %41.9 %49.2 %10.7 %26.2 %8.3 %.352
Glossary
PA: 打席
GB/FB: ゴロ/フライ
LD%: ライナー率
GB%: ゴロ率
FB%: フライ率
IFFB%: 内野フライアウト/フライ
HR/FB: フライ打球あたりの本塁打
IFH%: 内野安打/内野ゴロ
BABIP: インプレー打球あたりの打率

※ IFFB%はフライ打球の中で内野手が捕球した打球の割合、IFH%は内野ゴロが内野安打になった割合

丸佳浩* / Plate Discipline (10月7日現在)
SeasonLgTmAgePAPO-Swing%Z-Swing%Swing%O-Contact%Z-Contact%Contact%Zone%SwStr%
2016
CL
広島
27
6522,65117.9 %68.3 %41.8 %55.0 %85.3 %78.5 %47.4 %9.0 %
2017
CL
広島
28
6512,66918.9 %73.6 %45.3 %54.6 %84.3 %77.9 %48.3 %10.0 %
2018
CL
広島
29
5662,44515.4 %66.0 %38.4 %37.6 %74.5 %66.4 %45.4 %12.9 %
Glossary
PA: 打席
P: 投球数
O-Swing%: ボールゾーンスイング率
Z-Swing%: ストライクゾーンスイング率
Swing%: スイング率
O-Contact%: ボールゾーンコンタクト率
Z-Contact%: ストライクゾーンコンタクト率
Contact%: コンタクト率
Zone%: ストライクゾーン率
SwStr%: 空振り率


 年々、成績を上昇させていたのではあるが、今年は一段と突き抜けた成績を上げている。最も大きな変化は四球(BB%)、三振(K%)、本塁打(HR%)の上昇だろう。三振率の上昇をみると、本塁打の増加は偶然ではなく意識的にバッティングを変化させた結果ではないかと思われる。

 Batted Ballを見ると年々フライ率(FB%)があがっているのがわかる。また、これらの成績の中で一段と異彩を放っているのがフライ打球あたりの本塁打率(HR/FB%)だろう。今年のHR/FB26.2%というのは、規定打席到達打者の中ではトップの数字で、柳田や山川を抑えてのものである。

 Plate Disciplineでは、コンタクト率(Contact%)の低下が見て取れる。例年、85%前後だったストライクゾーンコンタクト率(Z-Contact%)が74.5%まで下がっている。この74.5%というのは規定打席到達打者の中では最も低い数値である。ボールゾーンコンタクト率(O-Contact%)も同様に下がっている。これが、本塁打が増加した代償というべきか、強振する割合を極端に増やした結果だと思われる。

f:id:verdoux:20181001235938p:plain:w400 f:id:verdoux:20181001235942p:plain:w400 f:id:verdoux:20181001235944p:plain:w400

 上記のグラフは今年の丸佳浩の成績の推移で、上からHR%、O-Contact%、Z-Contact%。15-gameは15試合単位の移動平均、30-gameは30試合単位の移動平均

 さて、グラフから読み取れることとしては、まずHR%が6月中旬あたりから上昇しているということである。また、同じ時期からO-Contact%、Z-Contact%とも下降していっているのを見ると、このあたりで打撃スタイルを変化させた可能性がある。この6月の中旬あたりまでの成績はHR%はやや高いものの、コンタクト率自体は例年とほとんど変わりない。

 今年の丸は故障で4月29日に抹消され、5月25日に再登録されるのであるが、抹消期間にきっかけがあったのか、復帰後の打席の中でなのかはわからないが、打撃スタイルの変化はシーズン中に起こったということではないだろうか。

 いずれにせよ、丸が今年になって大きくその打撃スタイルを変化させたということは間違いない。

 一つ心配なのが、9月に入ってからさらにストライクゾーンコンタクト率が急下降していることである。疲労もあるのだとは思うが、現時点で本塁打王も狙える位置にいるため、意識しすぎているというのもあるだろう。これが一時的なものであってくれれば良いが。