盗塁被企画率ランキング

 2018年の盗塁阻止率や盗塁被企画率など。公式記録の盗塁阻止率とは異なるので注意。ここでの盗塁阻止率はその捕手が守備についている時に発生した盗塁を対象にしており、捕手がプレーに関わらない盗塁も含まれる(例えば投手が一塁に送球する間にスタートしてセーフになるケースなど)。

 盗塁被企画率は走者一塁の時に盗塁を企画(盗塁もしくは盗塁刺が記録)された割合。

 wSB(Wiki)は盗塁による得点貢献値だが、守備側からみた場合の盗塁阻止もしくは盗塁抑止の得点貢献値として捉え、守備評価の一つとする。

■ リーグ平均
2018年 被盗塁企画率 (10月13日現在)
LgSBA%SBCSPOCS%wSB
セ・リーグ8.2 %4661822228.1 %0.0
パ・リーグ10.4 %5662513530.7 %0.0
Glossary
SBA%: 盗塁企画率
SB: 盗塁
CS: 盗塁刺
PO: けん制アウト
CS%: 盗塁阻止率
wSB: 盗塁による得点貢献値


 盗塁被企画率(表中SBA%)はパ・リーグの方が約2%も高い。これは今シーズンのパ・リーグの盗塁企画数が昨年の629から837に激増したというのもあるのだが、ここ数年の数字を見る限り一般的な傾向としても言えるようだ。また、盗塁阻止率としてはおおむね3割が基準となる。

■ チームデータ
  • wSBはけん制アウトも盗塁刺として計算
2018年 被盗塁企画率 (10月13日現在)
TmLgSBA%SBCSPOCS%wSB
楽天
PL
13.9 %12351629.3 %-1.2
ロッテ
PL
11.6 %10546630.5 %-0.1
日本ハム
PL
10.0 %9737727.6 %-1.8
中日
CL
9.7 %9329223.8 %-3.9
DeNA
CL
9.4 %9038529.7 %1.5
ソフトバンク
PL
9.2 %7052542.6 %8.0
西武
PL
9.0 %9033426.8 %-3.8
オリックス
PL
8.7 %8132728.3 %-1.0
広島
CL
8.3 %8523321.3 %-4.6
巨人
CL
7.5 %6630631.3 %2.9
阪神
CL
7.4 %7236533.3 %3.8
ヤクルト
CL
7.0 %6026130.2 %0.2
Glossary
SBA%: 盗塁企画率
SB: 盗塁
CS: 盗塁刺
PO: けん制アウト
CS%: 盗塁阻止率
wSB: 盗塁による得点貢献値


 表は盗塁被企画率の高い順でソートされている。今シーズンはイーグルスやマリーンズがよく走られたようだ。ただし、失点増としてのインパクトはそれほど大きくはなさそうだ。もちろん、走られやすさが投手の投球に影響を与えるなど副次的な効果はあったかもしれないが。

 盗塁阻止という点ではホークスが圧倒的だろう。逆に阻止率が低いのがカープで、平均的な阻止率(30%)を大きく下まわっている。

■ 盗塁被企画率ランキング
2018年 被盗塁企画率 200イニング以上 (10月13日現在)
NameTmLgInnSBA%SBCSCS%wSB
山下斐紹
PL
209.116.0 %3138.8 %-4.3
嶋基宏
PL
923.013.4 %764235.6 %3.4
大野奨太
CL
425.112.4 %451119.6 %-2.9
田村龍弘
PL
1156.011.1 %854434.1 %2.6
清水優心
PL
591.110.5 %441626.7 %-1.4
石原慶幸
CL
289.010.4 %28515.2 %-2.6
大城卓三
CL
366.09.8 %29821.6 %-1.5
森友哉西
PL
666.19.6 %432637.7 %2.7
鶴岡慎也
PL
513.29.2 %381629.6 %-0.4
炭谷銀仁朗西
PL
342.09.1 %27618.2 %-2.4
NameTmLgInnSBA%SBCSCS%wSB
伊藤光D
CL
348.08.9 %181647.1 %3.7
松井雅人
CL
626.08.5 %391020.4 %-2.1
若月健矢
PL
832.08.2 %472231.9 %0.4
山崎勝己
PL
333.28.1 %22415.4 %-2.3
高谷裕亮
PL
207.28.0 %8642.9 %1.0
甲斐拓也
PL
918.08.0 %423847.5 %7.7
嶺井博希D
CL
592.07.9 %41918.0 %-3.0
岡田雅利西
PL
268.07.6 %2014.8 %-3.2
中村悠平
CL
968.17.1 %482130.4 %1.1
梅野隆太郎
CL
1054.06.8 %522734.2 %2.9
NameTmLgInnSBA%SBCSCS%wSB
會澤翼
CL
789.16.7 %391325.0 %-0.7
井野卓
CL
244.06.6 %10323.1 %-0.3
小林誠司
CL
793.05.9 %301736.2 %2.4
Glossary
SBA%: 盗塁企画率
SB: 盗塁
CS: 盗塁刺
CS%: 盗塁阻止率
wSB: 盗塁による得点貢献値


 守備イニングが200イニング以上の選手を対象とした。また、冒頭で書いたようにこの表の盗塁阻止率(CS%)は公式記録とは異なるので注意していただきたい。

 先にチーム別のデータで見たようにイーグルスの捕手二人が上位に来ている。公式記録だと嶋の阻止率はこの表の数字ほど良くないのだが平均レベルはあるようだ。山下斐紹はかなり阻止率が低かったものと見られる。ただ、見てのとおりで得点的なインパクはそれほど大きくはない。また、盗塁阻止や抑止は捕手の能力だけに関わるものではなく、投手の能力に大きく依存するので、この走られやすさをこの二人の捕手の責任として捉えるのは早計かもしれない。

 とりあえず、投手の能力は棚上げにして考えるとすれば、被企画率の低さということでは、ジャイアンツの小林が最も走られにくかった捕手ということになるだろう。また、ホークスの甲斐はパ・リーグの中では被企画率が低く、かつ阻止率は両リーグ通じて最も高い。今シーズンの総合的な盗塁阻止・抑止という観点ではホークスの甲斐が最も優れた捕手だったといって良いのではないかと思う。