平均への回帰
打者
wRC+上位(400PA以上)
選手 | T | 2016 | 2017 | Diff |
---|---|---|---|---|
筒香嘉智 | D | 208 | 155 | -25.6% |
鈴木誠也 | 広 | 195 | 172 | -12.0% |
坂本勇人 | 巨 | 191 | 138 | -27.7% |
山田哲人 | ヤ | 190 | 122 | -35.7% |
柳田悠岐 | ソ | 175 | 190 | 8.7% |
角中勝也 | ロ | 159 | 121 | -23.9% |
丸佳浩 | 広 | 150 | 164 | 9.4% |
村田修一 | 巨 | 150 | 109 | -27.0% |
糸井嘉男 | オ | 149 | 155 | 4.0% |
バレンティン | ヤ | 149 | 137 | -7.7% |
これは2016年シーズンのwRC+の上位10選手の成績と翌年の成績とを比較したもの。リーグを代表する強打者が名を連ね、概ねリーグ平均の1.5倍以上の打力を記録している。しかし、翌年になると大半の選手は成績を落としており、前年比で成績を上げた選手は3名のみ。むろん、成績を落とした理由には怪我や不調箇所があったとか、それなりの理由があるケースもあるとは思う。ただ、そういう特定の原因がなかったとしても、これらの選手は成績を落とした可能性が高かったかもしれない。
2007年から2017年までのデータで年間400打席以上、wRC+150以上の選手を対象に翌年の成績との比較を行うと、翌年成績を上げることができたのは79人中14人で、82%の選手は成績を落としている。その内20%以上成績を落としたのは28人で43%。だから、昨年筒香が前年から大きく成績を落としたが、これは現象としてはそれほど珍しいものではないということだ。
逆に、wRC+の低かった選手では翌年成績を上げる例が多い。同じデータでwRC+90以下の選手を対象に翌年の成績との比較を行うと、64選手中49選手が翌年成績を上げている。
wRC+下位(400PA以上)
選手 | T | 2016 | 2017 | Diff |
---|---|---|---|---|
小林誠司 | 巨 | 60 | 52 | -14.0% |
今宮健太 | ソ | 87 | 115 | 32.3% |
倉本寿彦 | D | 88 | 72 | -18.1% |
銀次 | 楽 | 93 | 109 | 16.9% |
岡島豪郎 | 楽 | 95 | 108 | 13.3% |
鳥谷敬 | 阪 | 98 | 135 | 37.3% |
中村剛也 | 西 | 104 | 113 | 7.8% |
坂口智隆 | ヤ | 105 | 98 | -7.0% |
中田翔 | 日 | 105 | 93 | -11.6% |
長野久義 | 巨 | 109 | 114 | 5.2% |
成績上位者に比べて明らかに平均への回帰が見られるということはないが、例えば鳥谷のようにその選手にとっては明らかに悪すぎた成績からのバウンスバックだと思われる成績上昇も見られる。
投手
ERA-上位(400BF以上)
選手 | T | 2016 | 2017 | Diff |
---|---|---|---|---|
菅野智之 | 巨 | 55 | 42 | -24.9% |
岸孝之 | 西 | 64 | 74 | 16.0% |
菊池雄星 | 西 | 64 | 51 | -20.3% |
高梨裕稔 | 日 | 65 | 101 | 56.2% |
石川歩 | ロ | 66 | 145 | 119.9% |
千賀滉大 | ソ | 67 | 74 | 11.4% |
野村祐輔 | 広 | 72 | 78 | 8.4% |
今永昇太 | D | 74 | 79 | 6.8% |
田口麗斗 | 巨 | 75 | 80 | 6.5% |
則本昂大 | 楽 | 76 | 68 | -10.2% |
ERA-は防御率をパークファクターで補正し、リーグ平均を100とした場合の値。数字が低いほど良い。
ランキングには各チームのエース各の選手かもしくは二番手クラスの選手が並ぶが、翌年は成績を落としている例が多い。また、2007年から2017年までのデータ(年間400BF以上の選手対象)で見ても、ERA-70以下の選手が翌年成績を落とす割合は78%で、うち20%以上成績を落とす割合は64%。なので、打者と同じく、防御率が非常に良かった選手が翌年成績を悪化させていたとしても、それは特段不思議な現象とは言えない。もちろん、原因は原因として検証する必要があるが。
ERA-下位(400BF以上)
選手 | T | 2016 | 2017 | Diff |
---|---|---|---|---|
二木康太 | ロ | 162 | 97 | -40.2% |
ディクソン | オ | 124 | 87 | -29.4% |
西勇輝 | オ | 118 | 91 | -22.7% |
石川雅規 | ヤ | 116 | 120 | 3.7% |
小川泰弘 | ヤ | 115 | 69 | -39.8% |
美馬学 | 楽 | 112 | 88 | -22.0% |
金子千尋 | オ | 111 | 93 | -15.9% |
多和田真三郎 | 西 | 110 | 90 | -17.7% |
メンドーサ | 日 | 105 | 115 | 8.9% |
大野雄大 | 中 | 105 | 115 | 9.8% |
これも、2007年から2017年までのデータでみると、ERA-110以上だった選手が翌年成績を上げる割合は81%で、その内20%以上成績を上げる割合は56%。今回はERA-でみているが、FIPでみた場合はこれほど成績の変動は大きくならない。そもそも防御率の年度間相関は低いので当然といえば当然だが、例えば、FIPでみると美馬(91->89)や金子(104->103)、メンドーサ(113->111)といったところの成績はほとんど変わっていない。投球のクオリティー以外の部分で大きく影響を受けたということだろう。