過去10年間のドラフトで獲得した選手がどの程度戦力になっているか

 2007年から2016年までのドラフトで入団した選手を対象に各チーム、それらの選手がどの程度戦力になっているかを確認してみたい。

2007年〜2016年までのドラフトで入団した選手の貢献度
■ 野手

 本来であれば守備による貢献もこみで考えるべきだが、便宜上というか、古いものは守備に関してデータを持っていないので打撃による貢献だけで見ていく。

 打撃の貢献は打撃のみのWAR※を算出し、それで評価する。オフェンスのみのWARはwOBA※の得点換算値(パークファクター補正あり)にリプレイスメント補正を加えたものとする。リプレイスメント補正はデルタが以前Webで公開していたWARの算出方法を説明した内容を参考にしている(リプレイスメントレベルのwOBAをリーグ平均の0.88倍とする)。

 表の各項目は、『入団』がドラフトで入団した選手、『育成』は育成選手。『出場』が一軍での打席が1打席でもあった選手。『平均以上』は200打席以上でwRC+※が100を超えた(つまり平均以上の打撃成績だった)シーズンが一度でもあった選手。『2シーズン』は前述の条件(200打席以上、wRC+100超)を満たしたシーズンが2シーズン以上あった選手、つまりは継続して活躍できた選手。『WAR_off』は前述の打撃による貢献値。『選手』は平均以上の成績が2シーズン以上あった選手。

wOBA (野球) - Wikipedia

WAR (野球) - Wikipedia

2007年-2016年 セ・リーグ 野手 ドラフト入団選手の貢献度
Tm入団育成出場平均以上2シーズンWAR_off選手
広島3172010789.6
ヤクルト286173124.2
阪神327238321.9
DeNA357234321.2
巨人4523171118.8
中日347273110.7


2007年-2016年 パ・リーグ 野手 ドラフト入団選手の貢献度
Tm入団育成出場平均以上2シーズンWAR_off選手
西武283225359.1
秋山翔吾/浅村栄斗/森友哉
ソフトバンク4726165254.6
日本ハム320275550.0
ロッテ2911195331.5
楽天3611234421.7
オリックス389274116.8


 カープを例に見ていくと、2007年〜2016年までの10年間のドラフトで入団した選手は31人、うち育成選手は7人。その内、一軍で打席のあった選手が20人。200打席以上でwRC+が100以上(リーグ平均以上の打撃成績)だった選手が10人。その内、同条件を2シーズン以上クリアした選手が7人で、それは丸や菊池などほとんどは現在の主力選手である。この10年間内にドラフトで入団した選手があげたWARの合計は89.6で、セ・リーグの他チームと比べると60〜80勝程度多く貢献しているということが分かる。

 もちろん、このWARの差というのがそのままチームの戦力差というわけではなく、実際のチームの戦力構成としては2007年より前に入団している選手や、FAやトレードで入団した選手、あるいは海外リーグから入団した外国人選手もいる。だから、ここでの数値はあくまで過去10年間のドラフトで入団した選手の貢献度であるという点は留意しておきたい。

 さて、セ・リーグでは先に見たように、過去10年のドラフトで入団した選手の貢献度ということではカープが最も高い。というか、段違いに多い。これはチームが長年低迷していて若い選手を起用しやすい環境だったというのもあるだろうが、現在の主力となる優れた選手をドラフトで獲得できたというのも大きいだろう。

 一方、WARによる貢献値が最も低かったのがドラゴンズで、一軍の打席に立たせた選手の人数ということではリーグでも最も多かったのだが、この中から平均以上の活躍をし、レギュラーとして定着できたのは大島だけだった。ドラゴンズのここ数年の低迷の原因も、世代交代が上手くいかなかったという点にもあるのだと思うが、数値的にはこういうところに表れているようだ。

 その他のチームはWARが20前後で、貢献度ということではほぼ同じ。

 パ・リーグは、ライオンズ、ホークス、ファイターズが同程度の貢献度。ホークスとファイターズという育成に力を入れる球団が方法論は異なりながらも同じような成果を上げているというのは面白いように思う。

■ 投手

 投手の方も基本的には野手と同じ。『出場』は一軍での登板が一試合でもあった選手。『平均以上』は70投球回以上もしくは20登板以上でFIP-が100以下だった(つまりは平均以上の成績だった)シーズンが1回でもあった選手。『2シーズン』は前述の条件(70IP or 20G以上、FIP-100以下)を満たしたシーズンが2シーズン以上あった選手、つまりは継続して活躍できた選手。『WAR』はパークファクター補正ありのFIPの得点換算値※にリプレイスメント補正を加え算出したもの※。リプレイスメント補正については、野手同様、デルタが以前公開していたものを参考にした(先発のリプレイスメントレベルはリーグ平均の1.39倍、リリーフは1.34倍)。『選手』は平均以上の成績が2シーズン以上あった選手。

DIPS (野球) - Wikipedia

WAR (野球) - Wikipedia

2007年-2016年 セ・リーグ 投手 ドラフト入団選手の貢献度
Tm入団育成出場平均以上2シーズンWAR選手
DeNA48837161281.5
今永昇太/国吉佑樹/田中健二朗/石田健大/砂田毅樹/加賀繁/三上朋也/山﨑康晃/大原慎司/井納翔一/藤江均/須田幸太
巨人6126279477.8
ヤクルト4563514569.5
久古健太郎/小川泰弘/石山泰稚/中澤雅人/秋吉亮
広島407288467.9
野村祐輔/中﨑翔太/今村猛/大瀬良大地
中日4593411558.2
阪神3532910451.8


2007年-2016年 パ・リーグ 投手 ドラフト入団選手の貢献度
Tm入団育成出場平均以上2シーズンWAR選手
楽天4753412599.2
西武3703114996.1
高橋朋己/野田昇吾/牧田和久/武隈祥太/多和田真三郎/菊池雄星/増田達至/大石達也/十亀剣
日本ハム4203611889.6
ソフトバンク50192710984.5
千賀滉大/武田翔太/東浜巨/飯田優也/森唯斗/金無英/岩嵜翔/嘉弥真新也/攝津正
ロッテ50113312884.2
オリックス4543612364.8


 セ・リーグでは、この10年間というスパンでみた場合、投手に関してはベイスターズが最も上手くドラフトを活用してきたチームと言えるのではないかと思う。人数的にみても投手にややウェイトをおいたドラフトを行ってきたのだと思うが、複数年にわたって戦力化できた選手数という部分では群を抜いている。

 ジャイアンツの場合は、戦力化できた選手は少ないのだが、何といっても菅野の貢献度が高い。

 カープは野手と比べると、投手の育成は上手くいっていないようだ(育成なのかスカウトの能力なのかはわからないが)。短期的にでも活躍できた選手というのも少ない。

 パ・リーグに関しては、セ・リーグと比較した場合、継続して活躍した選手の数に差がある。そこも影響してかWARの合計値ではパ・リーグの方がセ・リーグよりも100以上高い。全体的に、セ・リーグよりもドラフトからの戦力化が上手くいっているようだ。