セ・リーグとパ・リーグの実力差
セ・リーグとパ・リーグの実力差を定量的に図るにはどうすれば良いだろうか。
例えば、セ・リーグの打者がセ・リーグの投手と対戦した時の成績(同一リーグでの対戦)とパ・リーグの打者がセ・リーグの投手と対戦した時の成績(交流戦)を比較することで、同じ投手群と対戦したときの成績として比較する方法はどうだろうか。
もちろん、この方法の場合、交流戦というかなり限定された期間とサンプル数の成績を集積していくのでフェアな比較とは言い難くなる部分もあるが、一つの仮説として見てみようと思う。
パークファクター
セ・リーグとパ・リーグを比較する際、考慮しなければならないのが球場の差である。
一般論でいえば、セ・リーグの球場の方が狭く本塁打が出やすいはずだし、パ・リーグの打者が交流戦で成績を上げるのもいくらかはセの球場特性によるものが含まれるはずだ。
なので、作業としてはまず交流戦時のセ・リーグとパ・リーグのパークファクターを求めることから始める。
セパ交流戦パークファクター(2007-2017)
Lg | BB% | K% | HR% | ISO | BABIP | AVG | OBP | SLG | OPS | wOBA | R | FIP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
CL | 0.97 | 1.07 | 1.30 | 1.12 | 1.02 | 1.02 | 1.01 | 1.05 | 1.03 | 1.02 | 1.03 | 1.04 |
PL | 1.03 | 0.94 | 0.77 | 0.89 | 0.98 | 0.98 | 0.99 | 0.95 | 0.97 | 0.98 | 0.98 | 0.96 |
2007年から2017年までのデータで交流戦時のセパの本拠地球場で試合のデータからパークファクターを出してみた。
CLがセ・リーグ側の本拠地球場のパークファクター、PLがパ・リーグ側。
セ・リーグ側で三振(K%)が増えているのは投手が打席に入る影響。
先に述べたとおりホームランはセの球場の方が圧倒的に出やすい。
セ・リーグとパ・リーグの実力差
このパークファクターを使って同一リーグ対戦時、交流戦時のそれぞれの成績を補正すると以下のようになる。
補正wOBA(2007-2017)
Lg | Opp | wOBA |
---|---|---|
CL | CL | .313 |
CL | PL | .311 |
PL | CL | .325 |
PL | PL | .327 |
Lgが打者側のリーグでOppが投手側。
打者の差
セ・リーグの打者がセ・リーグの投手と対戦したときのwOBAが.313。パ・リーグの打者がセ・リーグの投手と対戦したときのwOBAが.325。この場合、パ・リーグの打者はセ・リーグの打者と比較して、1.04倍よく打ったということになる。
同様にそれぞれがパ・リーグの投手と対戦した時は、セ・リーグの打者が.311、パ・リーグの打者が.327でパ・リーグ打者が1.05倍よく打った。
平均するとパ・リーグの打者の方がセ・リーグの打者よりも1.045倍よく打つということになる。
つまり、セ・リーグの平均的な打者とパ・リーグの平均的な打者とを比較した場合、パの平均的な打者の方がセの平均的な打者よりも1.045倍優れているということになり、これがセ・リーグの打者とパ・リーグの打者の実力差といえるだろう。
投手の差
次に、投手側(正確には守備側)からみた場合はどうだろうか。
セ・リーグの投手がセ・リーグの打者と対戦したときのwOBAは.313、パ・リーグの投手がセ・リーグの打者と対戦したときは.311。ほとんど差はないが、パ・リーグの投手の方が1.005倍成績が良い。
パ・リーグの打者と対戦した時はどうか。セ・リーグ投手が.325、パ・リーグ投手が.327である。今度はセ・リーグ投手の方が1.004倍良い。
両者を総合すれば、両リーグの投手にほぼ差はないということになるだろう。
まとめると、打者はパ・リーグの方が1.045倍優れており、投手は同等ということになる。