ペナントレース予想 セ・リーグ(2017)

 いよいよ2017年のペナントレースが開幕する。そこで、過去3シーズン(2014〜2016)の個人成績を加重平均して算出した予測値から各チームの戦力比較をおこなった。この予測値をもとに各チームの強みと弱みを確認し、どのような見通しがもてるか考えてみたい。

※ 守備に関してはデルタのUZRを参照した。(リンク)

昨シーズンのスタッツ

 最初に昨シーズンの成績を軽く振り返っておこう。

2016年スタッツ

チーム打撃走塁投手守備OffDef合計xW%
広島132.63.427.513.4136.040.9176.9.617
巨人-16.0-9.126.4-23.7-25.02.7-22.4.474
DeNA-9.22.5-5.110.8-6.85.8-1.0.490
阪神-72.19.748.9-11.1-62.437.7-24.7.471
ヤクルト33.6-4.6-88.2-4.929.0-93.1-64.1.447
中日-69.2-1.9-9.515.6-71.16.1-65.0.440

 ざっと見て、オフェンス面ではカープが圧倒したというのがわかるし、ディフェンス面ではカープジャイアンツ、タイガースの投手力は拮抗していたものの、守備で差がついたというのが見て取れる。
 昨年躍進したベイスターズは、打力よりはむしろ投手力に強みがあるチームだった。スワローズとドラゴンズは守備力はあるが投手陣に難点を抱え、タイガースは打線と守備に大きな弱点があった。

 さて、順番が前後してしまうが、ここで数値の説明をしておきたい。

 各数値はリーグ平均に対して何点多く得点を奪ったと見込めるか(ディフェンスであれば失点を防いだか)を投打の成績から計算した数字であり(打撃はwOBA、投手はFIP、守備はUZR)、合計については、スタッツから見込まれる得失点差と考えてもらえば良い(期待勝率はこの得意失点差から予測される勝率)。例えば、昨シーズンのカープの実際の得失点差は+187、上記スタッツの合計値は+172.1なので、だいたいの目安となるのがわかると思う。また、ここではこれらの数字を各チームが持つ(持った)戦力と考える。

 補足的な説明をつけ加えると、およそ10点あたり1勝の違いがあるものと考えてもらえるとイメージがしやすくなるのではと思う。例えば、昨シーズンのカープジャイアンツの戦力差(合計の差)は152であり、これは戦力的に約15勝分の差を意味する。

 この点を踏まえて今シーズンの戦力予測を見ていこう。

今シーズンの戦力予測

2017年開幕前予測値

チーム打撃走塁投手守備OffDef合計xW%
広島47.4-0.2-8.613.147.24.551.7.538
巨人18.8-2.420.1-1.816.418.334.6.525
ヤクルト17.5-1.0-20.71.516.5-19.2-2.7.498
DeNA-18.2-0.915.9-9.3-19.16.6-12.5.491
阪神-18.15.313.3-22.5-12.8-9.2-22.1.484
中日-47.4-0.8-19.819.1-48.2-0.7-48.9.464

 まず、カープジャイアンツが期待勝率5割以上で、優勝争いが期待される戦力を有したチームと言えるのではないかと思う。先ほど書いたように10点を1勝と考えた場合、カープジャイアンツは約2勝差ということになるので、ほぼ同戦力と見て良いだろう。ただ、戦力の型としては対照的で、カープは打に強み、ジャイアンツは投に強みをもつチームとなっている。また、カープ投手力に弱さがあり、どう運用していくのか、新戦力は出てくるのかがテーマとなるだろう。ジャイアンツは投手力を活かすために守備力の底上げができるかどうか、打の上積みを作れるかどうかがテーマではないだろうか。

 スワローズ、ベイスターズ、タイガースまでが5割に若干届かない予測値となっており、勝率5割以上をターゲットに、優勝争いに食い込んでいけるかというのがテーマとなるだろう。勝ち数ではそれぞれ1勝差で、ほぼ同程度の戦力と言えそうだ。それぞれの課題としては、スワローズは投手の出来、ベイスターズは打線の出来と守備が昨年と同様に平均以上の数値を残せるかどうか、タイガースもベイスターズと同じ。ベイスターズとタイガースは球場特性の違いからそのようには見えないかもしれないが、戦力の型としてはよく似ている。

 ドラゴンズは守備に強みを持つものの、躍進のためには打線の全体的な底上げと若い投手たちの活躍が必要となるだろう。

 以上が今シーズンの見通し、あるいはテーマについての概要的な部分で、チーム別には後のパートで詳述する。

 ところで、予測値の計算方法については触れておく必要があるかもしれない。

 冒頭で書いたように、予測値は過去3シーズンの加重平均から算出している。これはMarcelという計算方法を参照しており(リンク)、直近のシーズンから5、4、3の重み付けで平均を出し、その際、打席に対して一定数のリーグ平均の数値も加えるという手法となっている。これによってどういった傾向が現れるかというと、例えばスワローズの山田のような例年飛び抜けた成績を残している選手はリーグ平均を加える効果でややマイルドな予測値になるし、全く逆の(成績の悪い)選手は同じ効果で少しマシな予測値となる。また、当然ながら3シーズンの平均なので、昨年ブレイクしたばかりの選手は昨年の成績に対して低めの予測値に抑えられるし、昨年は低調でもそれ以前は良い成績を収めていたという選手は前年の成績に対して高めの予測値となるだろう。

 いずれにせよ、高いものも低いものも平均に引き寄せられて予測値としては差が薄まる傾向がある。だから、先ほどみた前年のスタッツでは打撃の数値が108.5だったカープが47.4に減っているからといって、あるいは投手の数値が-51.9だったスワローズが-20.7に増えているからといって、これが必ずしも何らかの原因(選手が移籍したとか)があって、戦力の増加や減少がおこっているというわけではない。ここでは、去年打ったからといって、あるいは打たれたからといって、今年も同じだとは限らない、どちらも平均に近づく、そういうものだと考えていただきたい。

ポジション別の戦力予測

 予測値そのものは先ほど説明したとおりで、これをどのようにポジション(守備位置)別に割り振っているかというと、前年の守備回からそれぞれのポジションで守った守備回の比率を出し、それで打席を割り振るという方法をとっている。例えば、ファーストを900イニング、レフトを300イニング守った選手で、打席の予測値が600打席なら、ファーストに450打席、レフトに150打席という具合である。
 なので、例えば今年からタイガースに移籍してきた糸井は、タイガースではセンターで起用する方針らしいが、昨年はセンターの守備にはついておらず、タイガースのセンターの予測値には含まれていない。ライトに含まれている。
 また、細かい点をいえば、各ポジションの総打席数を600として打席数の予測値の大きい順から埋めていく方法をとっているおり、前述のタイガースの例でいえば、ライトはすでに福留がおり、福留が約450打席、糸井が約150打席というような配分になっている。
 予測値を出すに当たっては、個別にマニュアルで調整したりはしていないので、今年のタイガースのようにポジションの変更というのが多そうなチームには特に留意が必要だろう。その点も含めて以下、チーム別に見ていく。

広島

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Off: 47.2 (47.4/ -0.2), Def: 4.5 (-8.6/ 13.1), 合計: 51.7 (.538)

黒田引退の影響

 カープは5割以上の勝率を狙う上で総合的には十分な戦力があると思われる。懸念材料としては、先発投手のラインナップということになるだろうか。予測値では-8.7となっており、これには当然、黒田が引退した影響も含まれる。

 例えば昨年のカープであれば、中村恭平が8試合先発した。スタッツを見ると、とてもローテーションで投げられる成績ではないのだが、マエケンが抜けた影響で先発が不足していたため登板が増えたのだろう。ローテーション投手が抜けた影響というのは、こういったスタッツ的に劣った投手の登板が増えるということであり、単純な失点増とともに、ブルペンへの負担も考慮しておかなければならない。  ちなみに、もし黒田が引退していなかった場合の予測値はどうなるかというと、ざっくり計算ではあるが、先発投手の数値は-8.7から+10.8になる。つまり、この差(-19.5)が、黒田が投げたかもしれないイニングを他の投手で賄った場合の損失ということになる。そして、実際には先発の投球回も減るのでブルペンに余計にかかる負荷もマイナス要素として加わるだろう。

 黒田の穴を埋める、あるいは影響を最小限に留める可能性としては、一つには大瀬良がシーズンを通してローテーションを守れるかどうかということがある。予測値では大瀬良の先発は10試合程度にとどまっており、これが20試登板した場合、+2.5程度の上積みになる。また、岡田も20試合以上先発できるようなら+2程度変わってくる(ただし、大瀬良や岡田がリリーフで投げるはずの登板がなくなるので、単純な純増ではない)。無論、これだけでは足りないので、他の先発候補である福井や九里などが成績を向上させることも必要となってくるだろう。

その他

 その他のポジションではサードとレフトがややマイナスである。サードはユーティリティータイプのペーニャを獲得した。ただし、ペーニャは昨シーズンの主なポジションはセカンドだったので、今回の予測値ではサードの数値にほとんど影響を与えていない。とはいうものの、ペーニャの打撃成績の予測値は高くはないので、仮に予測に反映したとしても打撃のマイナスが少し減る程度で、大きな上積みとはならないだろう(打撃で+3加算される程度)。ちなみに、MLBから移籍してくる選手に関して、打撃については予測値を作っているが、守備に関しては予測値を作れていない。なので、もしペーニャの守備力が非常に優れているということになれば、話は変わってくるのだが。

 野手全体で見れば、カープのコアなポジションであるセカンド、ショート、センターに不測の事態が起こらない限りは十分な戦力ではある。

 ということで、やはり鍵は投手ということになるだろう。

巨人

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Off: 16.4 (18.8/ -2.4), Def: 18.3 (20.1/ -1.8), 合計: 34.6 (.525)

先発投手

 ジャイアンツの強みの一つは先発投手陣にあって、予測値で+19.5。登板数の予測値は前年までの登板数から計算しており、例えば新加入の吉川の登板数は21登板になっている。しかしながら、吉川はジャイアンツの先発投手のラインナップの中ではスタッツ的に劣っており(数値的にマイナス)、この吉川の登板を他のスタッツが優れた投手(山口やマイコラス)にうまく分散できれば、さらに先発投手からの利得は増す。これがおおよそ+13程度のインパクトがあり、実態としてはここにあげた数字よりも高い戦力を持っていると考えられる。実際にはどういった先発投手の運用がされるかわからないが、いずれにしても、先発投手の層は厚く、菅野以外の投手であれば多少の離脱や不調は問題にならないだろう。

野手、補強の影響など

 野手に関しては、グラフを見てもらえばわかるように、ほぼショートの利得に依存した態勢である。予測値の上では、坂本が攻守で稼ぎ出す+41の利得に対して、その他の野手のポジションは合計して-31であり、ここが今シーズンの大きなテーマとなるだろう。

 補強したポジションを見ると、サードのマギーは打の予測値では村田とほぼ差がない。一方、村田に対する懸念としては、守備力が年々低下してきている可能性があること(デルタのUZRではこの3年間で-5.6、-8.0、-11.8と推移している)。なので、打力を基準とした場合、どちらもベテランで期待値としてはほぼ差がなく、もしマギーの守備が格段に優れているとなればマギーを優先して起用すればよいということになる。もちろん、見極めの難し部分ではあるし、村田の方が打つ可能性も大いにあるとは思うが。

 センターの陽の加入は打撃では大いにプラス。陽がいなかった場合のセンターの予測と比べて打撃数値を+14.3ほど押し上げる効果がある。一方、守備では、おそらく陽のコンディションにもよるのだろうが、ややマイナスとなる可能性もある(橋本と比較して)。むろん、陽の守備成績が昨年よりもさらに悪化する(デルタのUZRで-10)のでなければ、打撃によるプラスのほうが大きいのは間違いない。

 セカンドは、片岡が年間通して出場できれば守備でプラスになるはずだし、打撃ではクルーズにやや劣るものの、総合的には片岡だろうと思うのだが、どの程度出場できるかが不透明(予測値では380イニング)。また、クルーズの起用は外国人枠との兼ね合いもあるので、できれば若い選手が出てきてほしいポジションだろう。
 外野では長野が攻守両面で復調できるかどうか、ギャレットの起用法をどうするか。

 野手全体としては、”実績”のある選手がみな実績どおりの活躍をすればペナントは余裕の展開になるだろうし(勝率6割程度は見込める戦力になる)、選手起用の面でも迷うことはないだろう。しかし、そうでない場合はどういった選手運用をするかでベンチの手腕が問われるシーズンになりそうだ。

ヤクルト

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Off: 16.5 (17.5/ -1.0), Def: -19.2 (-20.7/ 1.5), 合計: -2.7 (.498)

先発投手、新外国人選手など

 小川が復調できるかどうかは、先発投手陣の出来の中でも重要な要素の一つ。小川の投球で気になる点としては、フライを打たれる割合が増加していることがあり、これが被本塁打の増加に繋がっている可能性がある。元々ゴロボーラーというタイプではないのだろうが、やや気がかりな点だ。
 それと、もう一人ポイントになりそうな投手としては杉浦をあげておきたい。杉浦はスワローズ先発投手の中では比較的スタッツの良い投手なので、シーズン通してローテーションを維持してくれれば大きい。

 また、新規加入のブキャナンとオーレンドルフはどうだろうか。オーレンドルフは奪三振はそこそこ良いが、四球がやや多い。ブキャナンは平凡なスタッツ。両者とも予測値は特別良いというものでもない。本拠地球場を考えても被本塁打をいかに低く抑えられるかがポイントになるだろう。来日前のスタッツの類似度でいえば、ブキャナンは良ければグライシンガー、悪ければマット・キニー(西武)、オーレンドルフは良ければライアン・グリン楽天)、悪いと昨年いたデイビーズくらいのイメージとなるのではないかと思う(デイビーズは投球自体は特別悪くはなかったと思うが、被本塁打が多かった)。
 ちなみに、こちらはリリーフタイプであるが、ギルメットは予測値も非常に良く(アメリカでのスタッツが良い)期待がもてそうだ。ルーキとギルメットとでブルペンで二枠使う運用もあり得るかもしれない。

野手

 ファーストは、畠山もしくはグリーンの打席がどのくらいになるか。予測では畠山が273、グリーンが216。打撃の予測値としては二人ともあまり違いはないのだが、この二人で600打席埋められれば+3加算される効果がある。いずれにせよ、二人を併用できれば昨シーズンのようにファーストで大きなマイナスを作ることはないだろうと思う(とはいえ、グリーンが実際にどの程度打てるかわからないが)。ただ、グリーンを起用する場合は、バレンティンは外せないものと考えれば、投手から一人外さなければならない(投手で3人起用していた場合)。このあたりが運用面で難しくなる可能性はある。

 セカンドは問題ないとして、ショートは若い選手が出てきて欲しいポジションになるだろう(西浦か谷内か、あるいはさらに若い廣岡か渡邉か)。

 サードは川端がヘルニアらしいが、今年どのくらい出場できるか。予測値では打席数は497。これがフル(600打席)なら+2の効果、もし300打席程度なら-8の損失となる(川端と控え選手とでは打力に差があるため)。

 外野で大きな要素としては、バレンティンがどのくらい出場できるか、どのくらいの成績を残すかということになるだろう。バレンティンの場合、一昨年の低成績が影響して予測値が低く出すぎている。予測値では410打席だが、これが600打席でキャリアハイ並(2013年)に打てば、守備でマイナスになる分を差し引きしても+40程度のインパクトがあるだろう。

DeNA

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Off: -19.1 (-18.2/ -0.9), Def: 6.6 (15.9/ -9.3), 合計: -12.5 (.491)

投手、山口移籍の影響など

 ベイスターズは先発投手に強みがある。予測値で+10.8。ちなみに、山口が残っていれば、+20.7。この差(-9.9)が山口が移籍した影響と考えられる。とはいえ、先発は山口が抜けても十分な陣容で、新規に獲得したクライン、ウィーランドとも予測値は良く、特にクラインは奪三振率が高く期待がもてる(オープン戦は内容があまりよくないようだが)。ウィーランドはバランスのとれたタイプだが、一つ気になるのが3Aのキャリアを通じて被BABIPがかなり高い点だ。これは今後のピッチングを見ていけば原因のあることなのか偶然なのか分かってくるだろう。

 ブルペンも粒ぞろいなので、全体として問題のない陣容だと思われる。

野手

 続いて野手陣に目を移すと、プラス(平均以上)を稼げているのがファーストとレフトのポジションのみとなっており、これは昨年と同様である。

 ファーストのロペスは守備での価値が非常に高く、多少打てない時期があったとしても外せないと思う。

 セカンドは悩ましいところではあるだろう。予測値では石川が354打席、残りをエリアンと宮﨑が打つことになっている。ただ石川は過去3シーズンでみても、攻守とも成績が非常に悪い。打撃重視なら宮﨑だが、宮﨑も守備成績(UZR)があまり良くない。ベテランの田中浩康は昨年、一昨年と一軍ではセカンドの守備についておらず、守備力がどの程度か不明。シリアコの守備がよければセカンド使う方法もあるだろう。
 仮に田中浩康の守備が平均的なものだとして、宮﨑と田中を比較した場合、予測値の上では宮﨑で回した方が僅かだが数値は良くなる。いずれにせよ、運用次第では予測値に対して+10程度は加算できるだろう。それでもまだマイナスではあるが。

 サードは予測値ではエリアンが191打席、白崎が174打席、以下シリアコ、宮﨑と続く。打撃と守備を総合すれば宮﨑となるだろうが、このポジションも流動的な起用になるのではないかと思う。

 ショートはここまでの起用をみていても倉本が基本線ということになるのだろう。ただ、倉本も数値は攻守ともあまりよくない。白崎はほぼサードでの起用に限られているが、オプションとしては持っていた方が良いのではと思う。

 レフトは筒香が昨年と同じくらい打てば+15加算できる。

 ライトは梶谷の稼働率次第。予測値では354打席。600打席なら+10加算可能。

 センターは桑原の主に打撃面での成長に期待といったところではないかと思う。ちなみに、センターには梶谷の打席が146打席ほど振り分けられており、梶谷のポジションを全てライト、その分を全て桑原がまかなうとした場合は、センターの打撃の予測値は少し下がるが、守備を含めればややプラスになるだろう。

 5割以上の勝率をターゲットとした場合、上記にあげたような現実的な上振れ要素を加味すれば、戦力としては十分あるものと思われる。あとは打線の全体的な活性化があればというところだろう。

阪神

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Off: -12.8 (-18.1/ 5.3), Def: -9.2 (13.3/ -22.5), 合計: -22.1 (.484)

投手

 強力な先発投手陣。補足としては、予測値では岩貞の数値が芳しくないのだが、これは過去3シーズンの加重平均から算出しているためで、昨年並みの投球が今年もできるのなら上記の予測値にさらに+10程度加算される。

 リリーフでは新加入のメンデスはスタッツがあまりよくない。あとはドリスが昨年並みの奪三振を維持できるか、藤川のコンディションはどうか、松田遼馬は年間通して投げることができるかなどがテーマになるだろう。

野手

 先に書いたように、タイガースは昨年とはポジションがかなり変わるようなので、上記の予測値がかなり変わる可能性がある。順に見ていこう。

 まず、原口。
 キャッチャーからファーストへということで、原口がファーストに専念する場合、キャッチャーの打撃の予測値はかなり下がる。原口の打席がキャッチャーに255打席ほど振り分けられているので、これを梅野と坂本に振り分けた場合、トータルで8.6ほど打撃の数値から減算される。
 ファーストは原口の打席および守備が増えることで12.1ほど加算される。念のためつけ加えておくと、原口の守備の予測値は平均以上ではあるのだが、これは非常にサンプルの少ないなかでのものなので実際にはどうかわからない。なので、以下の数字も守備が平均以上であればという仮定のもとだと考えていただきたい。
 後は、原口がどのくらい試合に出られるかというところだろう。予測値では282打席なのだが、これを400打席、残りをキャンベルとした場合はトータルで15ほど加算できる。
 総合すると、キャッチャーはマイナスになり、ファーストはややプラスになるが、全体としては+6.4ほどの効果となる。

 次に鳥谷。
 ショートは今回の予測では鳥谷がほぼ守ることになっている。これを全て北條に振り分けた場合、攻守併せて予測値から-1。
 サードは鳥谷がほぼ守るとして、予測値から+12.5。ただし、鳥谷の守備力が平均以上であった場合。
 合計で+11.5。

 続いて、糸井。
 ライトに入っている糸井の打席を減らしセンターに入れると、ライトが-1で、センターが+29。ただし、糸井の守備力が平均並みであった場合。
 合計で+28。

 以上、ポジション変更に伴う上振れ要素を合計すると+45.9で、戦力値は-22.1から+23.8になる。期待勝率は.517。
 留意点としては、既に書いたが、それぞれの守備力。糸井のセンターの守備は平均並として計算しているが、この数年センターはあまり守っておらず、ライトの守備でもデルタのUZRではマイナスを計上している。より広い守備範囲が要求されるセンターで果たしてどうか。また、鳥谷の場合は、サードにコンバートされることで、昨年ショートで計上していた大幅な守備のマイナス(デルタのUZRで-23.5)はなくなるが、サードの守備に関してはまだサンプルが少ない。なので、両者が守備である程度のマイナスを計上する可能性も十分ありうるものと考えておいたほうが良いだろう。

中日

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Off: -48.2 (-47.4/ -0.8), Def: -0.7 (-19.8/ 19.1), 合計: -48.9 (.464)

先発投手

 先発投手。昨シーズンもパークファクターで補正した値ではスワローズよりも成績が悪く、リーグワーストだった。大野が一昨年のように200イニング投げるような活躍ができるか、若手投手の全体的な底上げがあるかどうか。小笠原や鈴木翔太、あるいは新人の柳などに期待したい。

野手

 予測は前年までの打席数や守備位置を参照して計算しているため、ゲレーロの打席数の予測は77打席、ポジションはセカンドが主になっているのだが、これを少し調整する必要があるだろう。

 アメリカではセカンドでの起用が多かったが、オープン戦では主にサードで起用されたようだ。
 仮に、サードに約450打席割り振ったとして、+10増加(守備が平均レベルであればだが)。セカンドが-3。差し引きで+7。

 勝率5割以上をターゲットにした場合、ゲレーロサードで昨年のビシエドくらい打ったとしてもまだ足りないので、打線全体の底上げは必須だろう。