平均への回帰

平均への回帰 - Wikipedia

打者

wRC+上位(400PA以上)

選手T20162017Diff
筒香嘉智D208155-25.6%
鈴木誠也195172-12.0%
坂本勇人191138-27.7%
山田哲人190122-35.7%
柳田悠岐1751908.7%
角中勝也159121-23.9%
丸佳浩1501649.4%
村田修一150109-27.0%
糸井嘉男1491554.0%
バレンティン149137-7.7%

 これは2016年シーズンのwRC+の上位10選手の成績と翌年の成績とを比較したもの。リーグを代表する強打者が名を連ね、概ねリーグ平均の1.5倍以上の打力を記録している。しかし、翌年になると大半の選手は成績を落としており、前年比で成績を上げた選手は3名のみ。むろん、成績を落とした理由には怪我や不調箇所があったとか、それなりの理由があるケースもあるとは思う。ただ、そういう特定の原因がなかったとしても、これらの選手は成績を落とした可能性が高かったかもしれない。

 2007年から2017年までのデータで年間400打席以上、wRC+150以上の選手を対象に翌年の成績との比較を行うと、翌年成績を上げることができたのは79人中14人で、82%の選手は成績を落としている。その内20%以上成績を落としたのは28人で43%。だから、昨年筒香が前年から大きく成績を落としたが、これは現象としてはそれほど珍しいものではないということだ。

 逆に、wRC+の低かった選手では翌年成績を上げる例が多い。同じデータでwRC+90以下の選手を対象に翌年の成績との比較を行うと、64選手中49選手が翌年成績を上げている。

wRC+下位(400PA以上)

選手T20162017Diff
小林誠司6052-14.0%
今宮健太8711532.3%
倉本寿彦D8872-18.1%
銀次9310916.9%
岡島豪郎9510813.3%
鳥谷敬9813537.3%
中村剛也西1041137.8%
坂口智隆10598-7.0%
中田翔10593-11.6%
長野久義1091145.2%

 成績上位者に比べて明らかに平均への回帰が見られるということはないが、例えば鳥谷のようにその選手にとっては明らかに悪すぎた成績からのバウンスバックだと思われる成績上昇も見られる。

 

投手

ERA-上位(400BF以上)

選手T20162017Diff
菅野智之5542-24.9%
岸孝之西647416.0%
菊池雄星西6451-20.3%
高梨裕稔6510156.2%
石川歩66145119.9%
千賀滉大677411.4%
野村祐輔72788.4%
今永昇太D74796.8%
田口麗斗75806.5%
則本昂大7668-10.2%

 ERA-は防御率をパークファクターで補正し、リーグ平均を100とした場合の値。数字が低いほど良い。

 ランキングには各チームのエース各の選手かもしくは二番手クラスの選手が並ぶが、翌年は成績を落としている例が多い。また、2007年から2017年までのデータ(年間400BF以上の選手対象)で見ても、ERA-70以下の選手が翌年成績を落とす割合は78%で、うち20%以上成績を落とす割合は64%。なので、打者と同じく、防御率が非常に良かった選手が翌年成績を悪化させていたとしても、それは特段不思議な現象とは言えない。もちろん、原因は原因として検証する必要があるが。

ERA-下位(400BF以上)

選手T20162017Diff
二木康太16297-40.2%
ディクソン12487-29.4%
西勇輝11891-22.7%
石川雅規1161203.7%
小川泰弘11569-39.8%
美馬学11288-22.0%
金子千尋11193-15.9%
多和田真三郎西11090-17.7%
メンドーサ1051158.9%
大野雄大1051159.8%

 これも、2007年から2017年までのデータでみると、ERA-110以上だった選手が翌年成績を上げる割合は81%で、その内20%以上成績を上げる割合は56%。今回はERA-でみているが、FIPでみた場合はこれほど成績の変動は大きくならない。そもそも防御率の年度間相関は低いので当然といえば当然だが、例えば、FIPでみると美馬(91->89)や金子(104->103)、メンドーサ(113->111)といったところの成績はほとんど変わっていない。投球のクオリティー以外の部分で大きく影響を受けたということだろう。