勝利期待値から見る逆転試合ベスト5

 勝利期待値(Win Expectancy)とは過去の試合結果からシチュエーションごとの勝利確率をまとめたもので、例えば、5回表1アウトランナーなし2点リードなら勝利期待値は73.3%(過去73.3%の確率でリードしている方が勝利したという意味)となる。また、この場面でヒットや四球などによって出塁し、1アウトランナー1塁になったとすると、勝利期待値は76.4%にあがる。この場合、そのヒットか四球は勝利する確率を3.1%高めたということになる。このように1打席ごとに、細かく言えば1球ごとに勝利確率は変動しているわけだが、今回はそれを試合単位でまとめ、勝利確率の変動が大きかった試合を見てみようと思う。

 参照しているのはMLBの勝利期待値のデータだが、大まかにはNPBと同じだろうという前提で使用している。

WPA (野球) - Wikipedia

逆転勝利ベスト5

 以下、グラフの折れ線が試合中の勝利期待値の変動を表している。棒グラフはレバレッジ・インデックス。レバレッジ・インデックスとは、ざっくりいえば局面の勝敗にたいする重要度。

2017年5月6日 甲子園 阪神 vs 広島

123456789R
広島2202300009
阪神0000173112
5回表 阪0 - 9広 (WE: 100.0%) => 阪12 - 9広

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 カープは安部や鈴木のタイムリー、丸のホームランなどで5回表までに9点差をつけるが、6回裏に先発の岡田が突如乱れこの回だけで4四死球。代わった中田も抑えられずこの回一挙7失点。1点差まで追いつかれる。タイガースは次の回も得点を重ねついに逆転。最大9点差、勝利期待値でみると、統計上ほぼ勝利はないというところからの逆転勝利だった。

2017年7月26日 神宮 ヤクルト vs 中日

12345678910R
中日030340000010
ヤクルト000000280111
5回表 ヤ0 - 7中 (WE: 100.0%) => ヤ11 - 10中

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 ドラゴンズは序盤からビシエドや藤井の長打攻勢で先制。その後、スワローズの先発、ルーキー星の制球の乱れなどもあり、着実に得点を重ね4回表までに6対0とする。5回にも追加点を入れ10対0のワンサイドゲームとなる。ドラゴンズは先発の大野が好投。6回裏まで無失点。完封勝利もあり得るかと思われたが、7回に代打の中村悠平に2ランホームラン、8回にはバレンティンにも2ランホームランを浴び、山田に四球を出したところで交代。結果的にはここからの継投が誤算だった。福谷、岩瀬、又吉と続けざまに失点、とうとう同点に追いつかれる。試合はそのまま延長戦にもつれこみ最後は大松が伊藤準規からサヨナラホームランで大逆転勝利を飾った。この試合も先に見たタイガース同様、統計上ほぼ勝利はないというところからの逆転劇だった。

2017年7月7日 神宮 ヤクルト vs 広島

123456789R
広島0001002069
ヤクルト2002301008
8回裏 広3 - 8ヤ (WE: 99.7%) => 広9 - 8ヤ

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 スワローズは初回に山田の2ランホームランで先制。4回には相手のエラーも絡みさらに2点を追加して4対1。その後も追加点を挙げ5回裏までに7対1とする。カープは先発の戸田が大乱調、3点を返すのがやっとで9回に入った時点でスワローズが8対3で大量リード。ここからまさかの大逆転劇が始まる。まず、代打のバティスタが左中間にホームラン。1アウトの後、菊池がホームラン。丸が四球を選び、鈴木凡退の後、松山がタイムリーツーベースで2点差。西川が内野安打で出塁するとランナー1,3塁から代打の新井が逆転の3ランホームラン。9回裏は今村が3人で締め、9対8で勝利。

2017年4月2日 京セラD大阪 オリックス vs 楽天

123456789R
楽天0000000325
オリックス0202000004
7回裏 楽0 - 4オ (WE: 98.6%) => 楽5 - 4オ

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 バファローズは2回に伊藤のタイムリー、若月のセーフティスクイズで先制。その後4回にはT-岡田のホームラン、駿太のタイムリーツーベースで追加点を挙げ4対0とリードする。イーグルスは相手先発の西に7回まで無失点に押さえ込まれるが、8回に茂木の2ランホームランで反撃開始。代わった黒木からも銀次がタイムリーを放ち1点差まで詰め寄る。そして、9回にはクローザーの平野からペゲーロが逆転の2ランホームラン。9回裏は松井裕樹が三人で締めてゲームセット。5対4でイーグルスの逆転勝利。

2017年5月17日 マツダスタジアム 広島 vs DeNA

12345678910R
DeNA00000100315
広島00000040004
8回裏 D1 - 4広 (WE: 98.6%) => D5 - 4広

f:id:verdoux:20180112023008p:plain:w480

 5回までは両チーム無得点。ベイスターズは6回にピッチャーのウィーランドのソロホームランで先制する。カープは7回に代わった三上を攻め西川のタイムリーや田中のホームランなどで逆転、4対1とする。8回はジャクソンが抑え、9回クローザーの今村でそのまま勝利かと思われたが、1アウトの後、味方のエラーなども絡み3失点、同点に追いつかれる。そのまま延長に入り、10回にロペスの犠牲フライでベイスターズが勝ち越し。10回裏はパットンが3人で抑えて5対4で勝利。

逆転試合の多いチーム

 試合終盤、7回以降に勝利期待値(Win Expectancy)が80%を超えた試合での逆転勝利数あるいは負けを喫した数を集計した。要は負けたチームから見ると、勝利をほぼ手中にしながら敗れてしまった試合ということだが、いわゆる逆転勝ちとか逆転負けには試合の序盤に先制されてすぐに逆転したものも含まれるため、こちらの方がより本質的な逆転といえるのではないかと思う。

試合終盤の勝利期待値が20%を下まわった試合での逆転勝利数ランキング(2017)

チームLg試合勝率
広島CL621247.203
DeNACL71962.127
楽天PL71860.118
巨人CL78868.105
西武PL65659.092
阪神CL67660.091
ロッテPL90684.067
オリックスPL80575.063
ソフトバンクPL53449.075
ヤクルトCL93488.043
中日CL78373.039
日本ハムPL85382.035

 

試合終盤の勝利期待値が80%を超えた試合での逆転負けランキング(2017)

チームLg試合勝率
中日CL695711.838
ロッテPL61537.883
オリックスPL68607.896
DeNACL77677.905
楽天PL79727.911
広島CL93867.925
ヤクルトCL49426.875
日本ハムPL65596.908
巨人CL75696.920
西武PL83774.951
阪神CL81753.962
ソフトバンクPL93903.968